本と美術の緊密な関係 日伊作家がコラボ展

日本とイタリアの美術作家がコラボレーションした、体感する展覧会「本と美術の緊密な関係」が16日から18日まで、和歌山市西高松の県立図書館メディア・アート・ホール(Mah!)で開かれた。

同所のコーディネーターを務める日高川町の現代美術作家・尾崎水耶さんが、イタリア・フィレンツェ在住の美術評論家ロベルタ・フィオリーニさんと共に企画。さまざまな素材を本のようにとじて作る「アーティスツ・ブック」をはじめ、日本とイタリアの6人の美術作家が参加し、空間を作品として体感させる「インスタレーション」を展開した。

会場には、アルミ製の保温シートをポンチョにして椅子にかぶせた尾崎さんによるインスタレーションや、映画を題材にゴジラのフィギュアなど立体物を使ったジャンニ・ドリゴさんのアーティスツ・ブックなど各作家の多彩な作品が展示された。

17日には、ウィリー・ポンティンさんによるアーティスツ・ブックのデモンストレーションが行われ、ウィリーさんはカートン紙を帯状の紙でつないで表紙を作り、糸を通して木版画や原稿をとじ、1冊の作品が完成する様子を実演。参加者は間近で熱心に見つめていた。

「紀伊和歌浦図」をテーマにしたトークショーも開かれ、同市和歌浦中のあしべ屋妹背別荘のオーナー西本直子さんと古書店「紀国堂」店主の溝端佳則さんが絵に残された和歌浦について語った。

西本さんは、観光地として人気を博していた和歌浦とあしべ屋が、鉄道の普及に伴い新たな旅行のスタイルの影響を受けたことや、観光ガイドとして同図が作られたことを説明。溝端さんは、江戸時代後期に活躍した画家・原在明の作品について、不老橋が描かれていないことを紹介し、「小梅日記」の記録などを振り返り、作品に書き込まれた風景について語った。

作品を制作するウィリーさん=写真左、講演する西本さん

作品を制作するウィリーさん=写真左、講演する西本さん