部員10人で甲子園 大成が不来方に千羽鶴

 第89回選抜高校野球大会(19日開幕、阪神甲子園球場)に21世紀枠で初出場する、部員10人の岩手県立不来方(こずかた)高校野球部を応援するため、紀美野町の和歌山県立海南高校大成校舎(河本好史校長)の生徒と保護者が千羽鶴を完成させた。同校舎の前身、大成高は59回大会(昭和62年)に部員10人で出場。同じ部員数で、東日本大震災の被災地で練習に励む不来方高の活躍を願い、贈ることを決めた。

 千羽鶴は同校舎の1、2年生約140人と育友会(西田博昭会長)が制作。今月初旬から、不来方高のユニホームの色である藍と白の折り紙を用いて鶴を折ってきた。13日には、生徒会役員16人と保護者らが同校舎に集まり、折り鶴一つひとつにたこ糸を通して完成させた。

 59回大会出場時、吹奏楽部の1年生として甲子園で応援した育友会の尾保手三補さん(46)は「30年前、最後のバッターボックスに補欠だった部員が代打で入りました。10人目の部員が打席に立った時はアルプススタンドが沸きましたね」と振り返り、「最後まで諦めずに、悔いのないように頑張ってほしい」と話す。

 当時の野球部を知るOBの西田会長(58)は「準備から後片付けまで、10人で練習する大変さを見てきました」と話し、「不来方高は部員10人の練習に加えて被災もあり、もっと大変だったと思います。30年前の大成高校ができなかった1勝を」とエールを送る。

 千羽鶴は、不来方高の初戦(大会5日目)当日に甲子園で直接手渡す予定。海南高野球部副主将で同校舎生徒会長の2年生、平林怜君(17)は「勝ってほしいという気持ちで鶴を折りました。10人で勝ち上がって、奇跡を起こしてほしい」と必勝を願う。

千羽鶴を完成させた生徒と保護者ら

千羽鶴を完成させた生徒と保護者ら