衆院選へ与党と対決鮮明 野田民進幹事長

 民進党の野田佳彦幹事長(59)が8日、党支持者との意見交換などのため県内入りし、岩出市内でわかやま新報のインタビューに応じた。次期衆院選の目標を「小選挙区で勝つこと」と述べた他、学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却を巡る問題や、衆議院で審議入りした組織犯罪処罰法改正案などについても語った。

 ――民進党の結党から1年を迎えた。これまでの成果は。

 野田 旧維新の党との合流により国会議員の数が増え、国会運営の上でプラスになった。衆院選候補者の擁立数も220台まで届き、過半数(233)に近づいている。支持率に直結していないのは反省すべきだが、底力はついてきたと考えている。

 ――自民党との力関係に対する認識は。

 野田 安倍内閣の支持率は下降傾向にある。国民から「自民党政権に心配は出てきたけれど、それに代わる勢力はあるのか」と留保されていると感じている。

 ――支持拡大にどう取り組むか。

 野田 政権公約をしっかりつくり、(党としての)旗を立てることが重要だ。教育の無償化やエネルギー政策など骨格が固まってきたものもあり、旗を持つ人(候補者)を増やすことが大事だと考えている。

 ――森友学園を巡る疑惑の解明に向けてどう取り組むか。

 野田 国民の財産である国有地がなぜ破格の値引きで払い下げられたのか。政治家や関係者の関与があったのかどうか白黒はっきりさせなければいけない。一方の当事者は証人喚問で重い覚悟を持って発言している。その他の当事者にも同じ条件で話してもらうため、(安倍)昭恵夫人を含めた証人喚問を要求する。

 ――「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案にどう対応するか。

 野田 政府は東京五輪に向けたテロ対策として必要と言っているが、安倍総理はブエノスアイレスでの演説で日本は安全だと言っていた。テロ対策は誰も否定しないし、われわれもやるべきだと思っている。しかし同法案は中身が過去の共謀罪法案と変わっていない。内心の自由やプライバシーに対する重大な脅威で、東京五輪を成功させたいという国民の気持ちを利用しているとしか思えない。法案についてよく分かっていない国民の方もいらっしゃるので、答弁能力が乏しく右往左往する法務大臣の姿などを通じて、事の本質を理解していただきたいと考え、審議入りには応じた。美名の下に本質が隠されていることを訴えて廃案に追い込む。

 ――次期衆院選における野党共闘については。

 野田 昨年の参院選では、一人区で(共闘が)功を奏した。衆院選の小選挙区で自公勢力に対抗するためには、候補者を1人に絞ることが必要。共謀罪法案や長時間労働への規制など、他の野党との間でできるだけ政策の一致点を見いだすことが大事だと考えている。共産党については綱領や基本的な理念が違い、同じ政権はつくれないが、一致できる政策はあるので、他の野党と同じように協力を進めていく。

 ――県内における民進党の現状や次期衆院選に向けての戦略は。

 野田 1区は岸本(周平)さんが孤軍奮闘している。近畿で小選挙区を一つ勝つのは、他のより厳しい地域で選挙を戦う人を助けることになり、2議席分の意味がある。岸本さんにはその役割を期待したい。2区はかつて議席を有した地域。歯を食いしばって当選ラインに近づいてほしい。党本部も応援する。組織は選挙を通じてしか強くならない。国政選挙で良い候補者を立て、その人を中心に運動を進める傍ら、中間選挙でも地方議員の仲間を増やしていくことが重要だ。

インタビューに答える野田幹事長

インタビューに答える野田幹事長