受動喫煙対策の推進訴え 世界禁煙デー講座
受動喫煙の問題などを考える「世界禁煙デーフォーラムin WAKAYAMA」が27日、和歌山市の県民文化会館で開かれ、参議院議員で前神奈川県知事の松沢成文氏が「『日本のたばこ』を知る・考える・変える」と題して講演し、約40人が聴き入った。
たばこ問題を考える会・和歌山が主催。受動喫煙対策を巡る国内の状況を広く知ってもらおうと企画した。
松沢氏は神奈川県知事として当時全国で例がなかった「受動喫煙防止条例」の制定に尽力。知事在任中の平成22年度に施行された。
講演で松沢氏は、かつて喫煙者だったことを告白。禁煙を機に体調が回復した経験が受動喫煙対策に力を入れるきっかけになったと話した。同県が実施した世論調査の結果を例に「7~8割の人は賛成してくれるが、サイレントマジョリティー。反対派は生活がかかっており、徹底的に反対する」と反対派の声の大きさを強調。反対する県議会の自民系会派との議論では、同会派が示した「罰則は付けない」「小規模店舗は対象外」の条件のうち、罰則の抑止効果を優先する考えから小規模店舗は対象外とすることを認めたと説明した。
規制の手法について、受動喫煙防止の努力を施設管理者に求める健康増進法25条を挙げ、「誰も知らないし、守っていない」と指摘。罰則付きの規定を定める必要性を強調し、都道府県ごとに定める条例ではなく、法律で全国一律に規制するべきだと話した。
松沢氏は法規制の実現に向け、目標時期や活動内容を明確に定めた「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」の一員
として活動していると紹介。国内で生産される葉たばこの買い取りを日本たばこ産業㈱(JT)に認めた「たばこ事業法」の存在や、JTの株式の3分の1を財務省が所有している状況を挙げ、「巨大なたばこ利権がある。メディアもスポンサーの影響を受けており、報道が曲げられてしまっている」と指摘した。
国会での受動喫煙対策を巡る議論については、厚生労働省案が事業所を屋内禁煙としているのに対し、約280人の議員で構成する自民党たばこ議連の案は受動喫煙対策の対象外としており、「職場は受動喫煙の被害が最も起きやすい。お客さんだけでなく従業員のためにも対策を」と呼び掛けた。