似顔絵はんこ「似てルンです!」人気じわり

笑顔の似顔絵に感謝や喜び、応援のメッセージを添えて――。和歌山市東長町の㈲みの印章堂(箕尾光芳社長)が開発したメッセージ付き似顔絵はんこ「似てルンです!」が、長寿祝いの贈り物や、教員の備品などとして使われる機会が増え、じわじわと人気が高まっている。

同商品は、顧客の写真から似顔絵を描き、名前や「ありがとう」「やったね」などの短いメッセージを添えてデザインしたはんこ。

商品開発のきっかけは平成27年5月、光芳社長(59)の父で創業者の幸明(よしあき)さんが骨折したこと。入院する際に必要な衣類や日用品全てに記名する必要があり、「その手間がとても大変でした」と光芳社長の妻で専務の典子さん(59)は振り返る。

記名の代わりに手近にあった幸明さんのはんこをタオルや肌着などに押したところ、使い勝手が良かったことから、似顔絵入りのはんこを作成して使った。その珍しさから看護師や医師から声を掛けられるようになり「コミュニケーションが生まれる!」と感じたという。

「はんこは自分オリジナルのものであることが大切で、自分で彫ったはんこが最高です」と話す典子さんは、高校時代に作成した落款(らっかん)を今も大切に保管している。選択科目の書道の授業の一環で、印に用いられる石の素材に「典子」と彫った。

こうした、はんこへの深い思い入れもあり、「オリジナルで、遊び心も加えたはんこを」と願って「似てルンです!」の開発が始まった。イラストが得意で、入社5年の上田菜実代さん(23)がテレビなどで人気のある著名人の似顔絵を描き、試作品を製作。試作品を手に、光芳社長と典子さんは著名人の参加するイベントに出向き「作りました!」とPR。「何これ? 似てるわ!」と、驚きと共に喜ばれたことに手応えを感じた。

28年2月には、和歌山市の「チャレンジ新商品」に認定された。知名度が上がり、「米寿祝いに大好評だった」「学校で生徒とのコミュニケーションがとりやすい」などと好評の声が寄せられるようになった。

光芳社長夫妻の娘婿で、同商品の広報を担当している淺井隆一常務(36)は「幼稚園や小学校低学年の先生などから評価印として好評を頂いています。ご家族の持ち物の記名に使っていただくなど、さまざまな用途があるので、フェイスブックやホームページなどで、さらに広く知っていただけるように働き掛けていきたい」と力を込めている。

人気の「似てルンです!」

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