デゴイチ復活の雄姿 有田川で試験走行成功

鉄道ファンをはじめ多くの人に人気がある蒸気機関車「国鉄D51形蒸気機関車」の試験走行が25日、有田川町徳田の有田川鉄道公園で行われ、白煙を吐きながら約40年ぶりに自力走行する「デゴイチ」の雄姿に、集まった人々から歓声が上がった。

走行した蒸気機関車は「D51  827」。個人が所有し、愛知県あま市で長年保管されていたものを、超大重量物の輸送業務などを手掛けるアチハ㈱(本社=大阪市住之江区)が譲り受け、走行できる状態に復活させることを目指し、同公園で整備を進めてきた。4月18日に同公園へ搬入され、今後の本格的な活用に向け、試験走行が実施された。

雨が降るあいにくの天候の中、県内外から鉄道ファン約100人が集結。午前11時、汽笛を響かせ「D51  827」が進み始めると、人々の目は車両の動きにくぎ付けとなった。

「D51  827」は約5㌔の速度で約200㍍のレール上を4往復。無事に試験走行を終えた。

同車両は昭和18年に旧鉄道省(国鉄の前身)浜松工場で製造され、同21年末から48年末までの27年間にわたり使われた。高さ3・98㍍、幅2・93㍍、長さ19・73㍍。重量は機関車が78・37㌧、炭水車は22㌧。

復活に当たり、同社は車両の動力に石炭や火ではなく、圧縮空気を使用。煙の影響を心配することなく、安全に走行できるようになっており、試験走行で煙突から立ち上った白煙には、水蒸気が用いられた。

走行可能となった車両の今後の活用法として、SLの運行に意欲を示している全国の自治体にリースすることを検討しているという。

滋賀県大津市から訪れた男子大学生(22)は「SLが走る場面はこれまでも見たことがありますが、今回は近い距離で見られて良かったです」と笑顔。愛知県から駆け付けた元所有者の長女(54)は「実際に動くのを見てびっくりしている。よく頑張ったねと褒めてあげたい」と興奮した表情を見せていた。

試験走行の成功を受け、7月下旬に地域住民を対象とした運転や乗車の体験イベントが開かれる予定で、同町商工観光課は「小さい子どもからお年寄りまで楽しめるのがSLの魅力。有田川鉄道公園を知っていただくきっかけになれば」と話していた。

白煙を上げて走行する「D51 827」

白煙を上げて走行する「D51 827」