乙姫と龍灯の故事を再現 紀三井寺の千日詣

 一日のお参りで千日分の功徳を得られるとされる「千日詣」が9日、和歌山市の紀三井寺で行われ、功徳を得て福を持ち帰ろうと大勢の参拝者が訪れた。

 千日詣は1250年前、同寺を開いた為光上人が大般若経を書き写した8月9日に、龍宮城の乙姫が海の中でも消えない龍灯を持って為光上人を訪れたという故事が由来。最近は知っている人も少なくなったことから、和歌山オリエンタルダンス協会らの協力で、乙姫が女官を連れて龍灯を持って石段を上がる「龍宮乙姫龍灯献上行脚」が初めて行われた。

 境内では、地元の子どもたちによる和讃奉納があり、子どもたちは寺の由来を歌った和讃に合わせて太鼓をたたいた。

 その後、楼門に乙姫が登場。使者が「龍宮乙姫、龍灯献上、一日千日、福徳招来!」と大きな声で唱えて先導し、乙姫は参道を歩き、本堂で女官とともに扇を翻して踊った後、前田泰道副住職に龍灯を手渡した。

 龍灯の火がともされた境内では、毎年恒例の福棒投げで千日詣が締めくくられ、やぐらから投げられたボールを取り合う参拝者があちらこちらで見られた。ボールは「福壽来」と書かれた御幣と交換された。

 大阪府枚方市から訪れた清水彩花さん(7)は「乙姫さまは踊りも上手でとてもきれいだった。福棒も取れて良かった」と話していた。

本殿で舞う乙姫と女官ら

本殿で舞う乙姫と女官ら