和牛五輪出場へ 「わかな」種牛で県初

 9月7~11日の5日間、宮城県仙台市で開かれる「第11回全国和牛能力共進会」(全国和牛登録協会主催)の県代表牛に、紀の川市名手下の中山牧場で育てられた黒毛和種「わかな」が選ばれた。全国の和牛が5年に1度、一堂に会して優劣を競う大会で、わかなは県初となる「種牛(しゅぎゅう)の部」で出品。飼養する中山郷史さん(36)は「いい成績を残したい」と意気込んでいる。

 同大会は、全国のブランド牛が産地の威信をかけて出品され、種牛と肉牛の優劣を競うもの。規模の大きさから「和牛のオリンピック」とも呼ばれ、ことしは全国39道府県から517頭(種牛334頭、肉牛183頭)が出場する。

 種牛の部は、体高や骨格、毛並みなどを評価する。県には同協会の認定を受けた改良組織が存在せず、これまでは同部門での参加資格がなかった。そのような中、平成22年に紀北和牛改良組合を設立し、今回初めて出品。昨年12月から約半年の期間をかけて選考会を行い、14頭の中から「わかな」が選ばれた。生後14~17カ月の若雌が対象の「第2区」での出品となる。

 中山さんによると、わかなは、鹿児島県を代表する種牛「福華1」を父に持つ。同部門への出品を目指しておととしに交配させ、昨年5月に誕生した。おとなしく臆病な性格で、生後8カ月を過ぎたころから粗飼料を多めに与え、余分な脂肪をカット。毛並みにも気を遣い、3日に1度は馬用のシャンプーとワックスで手入れをしている。現在の体高は127㌢と、審査基準で定められた上限いっぱいにまで育った。

 大会に向け、兵庫県の調教師の指導を受けて歩き方や立ち方の訓練に励むわかな。会場の仙台市までは約900㌔の移動となり、「これが一番の不安ですね」と中山さんは笑う。初めての経験を前向きに捉え「甲子園で高校球児が1勝するのが大変なように、険しい道のりだと思う。少しでも全国の人に和歌山の牛をアピールできれば」と話している。

和牛五輪に出場する「わかな」と中山さん

和牛五輪に出場する「わかな」と中山さん