それぞれの地域振興策 和歌山2区の政見
4候補による選挙戦が行われている衆院和歌山2区。各候補は自身の訴えを多くの有権者に届けようと、連日広い選挙区を東奔西走している。人口減少や産業の衰退に悩まされている地域も多く含まれている選挙区であり、地域活性化への考えを中心に消費増税や憲法改正などについて各候補の政策を比較する。
2区に立候補しているのは届け出順に、共産党新人の下村雅洋氏(62)、日本維新の会新人の栄隆則氏(53)、自民党前職の石田真敏氏(65)、希望の党新人の坂田隆徳氏(38)。
和歌山2区は、宅地開発が進む和歌山県岩出市で人口が微増しているが、他の自治体は人口減が続き、農林水産業の衰退に直面している。各候補は地域活性化にどう取り組むのか。
下村候補は農業者戸別所得補償制度の充実を訴える。各自治体が推進している企業誘致を「お金をかける割に小規模の雇用しか生まない」と批判。専門家の育成を通じた農林業の振興や全国同額の最低賃金制度導入が持論だ。
栄候補は農業の活性化に強い意欲を持つ。積極的なほ場整備により耕作放棄地の拡大阻止に取り組むとし、人口減の要因となる少子化については、「子育て費用の負担を軽減すれば改善できる」と主張している。
石田候補は県議や海南市長を経験し、「地域を定点観測してきた」と話す。「地方創生はものすごく大事。ラストチャンスの気持ちで頑張らなければいけない」と語り、道路整備による条件の改善や人口知能(AI)などの最先端技術を活用した農林水産業の振興に意欲を見せる。
坂田候補は地域の実情に合わせた農業政策の導入を掲げ、農業者戸別所得補償の対象を米作だけでなく果樹や野菜まで拡大することを強調。中小企業に対する支援の充実や若者を取り巻く雇用環境の改善も目指す。
憲法や安全保障についてはどうか。
下村候補は安倍首相が意欲を示す憲法9条への自衛隊明記に断固反対の立場。交戦権や軍備保持を否定している9条の性格変更につながるとし、核兵器禁止条約への参加など国際社会と連帯した平和外交を求める。
栄候補は北朝鮮の脅威について、日米同盟や韓国、中国との連携強化による包囲網を構築し、圧力の強化を目指す。
石田候補は憲法について、侵略戦争の否定と自衛権の明記を進めるべきだと主張。核開発や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対する対話路線は「核武装の既成事実化を容認することにつながる」として限界があるとの見方を示し、経済制裁の徹底が有効と話す。
坂田候補は安倍政権の政治を「憲法軽視だ」と批判。「政治が憲法に基づかなければ国の秩序が乱れる」と話し、「自衛隊の根拠規定は十分とは言えないが、憲法9条への明記とは別次元の話だ」としている。