西国三十三所祈りの旅 和大紀州研で展示

和歌山県那智勝浦町の青岸渡寺を第一番札所として紀伊半島から始まる、日本最古の巡礼路「西国三十三所」に関係する資料を集めた特別展が15日まで、和歌山大学(和歌山市栄谷)図書館3階の紀州経済史文化史研究所展示室で開かれている。巡礼文化の始まりを伝える縁起や当時の人たちが残した道中記録など55点を展示している。

同展は「紀州地域と西国順礼」として、同研究所が主催。西国三十三所が始まり平成30年で草創1300年を迎えるのに合わせて企画した。青岸渡寺、紀三井寺、粉河寺の3札所寺院や道成寺などが協力している。

「南紀補陀落山粉河寺四至伽藍之図」(室町時代)は粉河寺の所蔵。近世に再建された堂が描かれていないことから、天正13年の豊臣秀吉の焼き討ち以前の寺域を描いているとみられ、中世の巡礼者が見ていた寺風景が想像できる。

巡礼路は、近畿の2府4県と岐阜県にまたがる総距離1000㌔に及ぶ道のり。巡礼が広まった江戸時代、人々が各地の風景を描いた道中記や、巡礼順路を示した詳細な道中図も残る。同大学教育学部准教授の大橋直義さんは「当時の人にとっては一生に一度の巡礼の旅。今でいうガイドブックを手に携え札所を目指した巡礼者たちの足跡に思いをはせてほしい」と話している。入場無料。午前10時半から午後4時まで。土日祝日は休館(9日開室)。問い合わせは同研究所(℡073・457・7891)。

展示されている「南紀補陀落山粉河寺四至伽藍之図」(左)

展示されている「南紀補陀落山粉河寺四至伽藍之図」(左)