特急くろしお南紀で減便へ 大阪方面は増便
JR西日本は来年3月17日に行うダイヤ改正で、きのくに線の和歌山県の白浜―新宮間で利用客が減少しているとして、特急くろしお号を現在の7往復から6往復に減便する。県は15日、同社と協力して誘客キャンペーンを行うなど、利用客の回復と再びの便数増を目指して取り組みを進めると発表した。一方で、利用客が増えている和歌山―新大阪間では特急3本が増発される。
JR西日本和歌山支社によると、白浜―新宮間の特急くろしお利用客は10年前に比べて約3分の2に減少。10月に同支社から県に減便計画が伝えられると、仁坂吉伸知事は「JRは生意気だ。自分で乗客を増やす努力をしたのか。県や沿線自治体みんなで考えなければならない」と怒りをあらわにしていた。
県は利用促進策として、職員の長距離出張にくろしお号を利用する▽紀南地方の市町村職員が県庁で開かれる会議に出席する場合に、くろしお号のダイヤを考慮した開催時刻とする▽県商工会議所連合会など県内経済団体にくろしお号の利用を働き掛ける――などを打ち出した。
JR西日本と行うキャンペーンは来年3月17日から10月31日まで実施。オーシャンアロー編成のグリーン車に家族を招待するなどのプレゼント企画を用意し、駅レンタカープランなどで周遊を促す。春休みにはアドベンチャーワールドとのコラボレーションにより、パンダデザインのくろしお号の団体臨時列車を運行するとしている。
県総合交通政策課は「観光客や沿線住民の交通の選択肢が減り、減便は大変残念だ。利用促進に向けた活動を大々的にやっていきたい」と話し、同支社は「利用状況に合わせた決定なので理解してほしい。お盆や年末年始などの繁忙期は臨時列車を運行し、利便性を確保する」と理解を求めた。
一方、和歌山―新大阪間は、午前5時台の上りと午後6時、10時台の下りの3本を増発する。同支社によると、同区間の利用客は10年前に比べて約2割増加している。出張や旅行などで利用する人の利便性をさらに高めるため、東海道・山陽新幹線との接続を考慮した新ダイヤとなる。