ぶらくりじてんしゃ開業 池田さんの挑戦

和歌山県和歌山市雑賀町に自転車販売、修理を手掛ける「ぶらくりじてんしゃ」が10月にオープンして約2カ月。シャッターが下りたままの店舗も少なくない商店街にあって、地域に親しまれる店づくりを目指している店主の池田勇太さん(23)は、店の船出に手応えを感じており、得意の自転車修理の腕をまちの人に役立てたいと意気込む。

池田さんは同市北新周辺で生まれ育った。店名の「ぶらくりじてんしゃ」は、「友人の多いこのまちが好き」という池田さんが、高齢者の多い現状に合わせ、分かりやすさを重視して名付けた。需要の多い一般車や子ども用の自転車を店先に、趣味性の高いタイプは店内奥に陳列しており、「誰もが寄りやすい店」を目指している。

入り口付近で行っているパンク修理やタイヤ交換などの手作業が買い物客らによく見えるよう、店構えは大きなガラス張りにした。

池田さんによると、パンク修理は、慣れていない人が自分で直そうとした場合は30~40分かかる作業だが、同店では5、6分で完了できるとプロの技を強調する。「身近な乗り物であるだけに、パンク修理は簡単だと思われることが多いですが、専門技術との違いを見てもらいたいです」。

池田さんは幼い頃からおもちゃをバラバラに分解したり組み立て直したりして遊ぶことが好きだった。修理好きが高じ、自転車店が自宅近くにあったこともあって、18歳から5年間、自転車専門店に勤務した。

創業したのは、20歳で取得した自転車技師、自転車安全整備士の資格や、専門店で学んだ接客やさまざまな種類の自転車の知識を生かし、ぶらくり丁に一件でも店舗を増やしたいと願ったから。

近隣で塗装業を営む父とは、ペンキを塗ることも自転車の修理もともに技術職であり、共通するものを感じている。「自分の身の回りでお金を使うことが大切で、使わなければ戻ってこない」という父の教えの通り、定休日の火曜日は友人が営む近くの飲食店で食事を楽しむ。

店番の交替がないことを心配して昼食を差し入れてくれる客もいて、池田さんは「ここで開業して良かった」とほほ笑む。「職場で使われている自転車など、メンテナンスが気になったらぜひ気軽に寄ってください」と呼び掛けている。

営業時間は午前9時半から午後8時まで。火曜定休。問い合わせは同店(℡073・435・5595)。

「気軽に立ち寄って」と池田さん

「気軽に立ち寄って」と池田さん