ドローンで農作業軽減 農薬散布のデモ飛行

 農家の高齢化や後継者不足により、農作業の担い手が減少している問題で、農薬散布への無人航空機ドローン(UAV)の活用が、作業軽減の方法の一つとして期待されている。UAVメーカーのXAIRCRAFT JAPAN(エックスエアクラフト・ジャパン)㈱(兵庫県小野市)は、これまでなかった均一散布ができる噴射ノズルを搭載したタイプを昨年10月に発売。県内で初めてのデモンストレーション飛行が13日、和歌山県紀の川市貴志川町で行われた。

 同社が開発した「P202017型」は縦、横幅とも約120㌢、高さ36㌢、最大離陸重量25㌔、秒速1~8㍍で飛行できる。農業向けのフライトコントローラーの利用により安定した飛行を実現し、精密な噴射ノズルの搭載で、作物への農薬の均一散布を可能とした。特に狭小な農地での空中散布に有効と考えられ、果樹園での利用が期待されている。

 デモンストレーションは、ドローン関連事業を手掛ける㈱未来図(和歌山市西高松、藤戸輝洋代表取締役)が操縦技術の講習を行う広場で実施。農業関係者や県の職員、研究員らが参加した。

 エックスエアクラフト社の職員が簡単な設定で操作できる「パイロットフォン」を手に、ドローンを飛ばした。測量した木の高さを入力しておくと自動で高さに合わせて旋回して薬品を噴射し、機体から生じる風を利用して葉の裏側にまで農薬を散布できる仕組みなどを解説。参加者からは機体の他、操縦免許についての質問もあり、講習を受ける必要があることなどの説明も行われた。

 同社の住田靖浩営業部長は「果樹園の栽培をしている人は、農薬散布の時期には防御をしていても肌荒れや目の痛みを感じていると聞く。ドローンの活用により負担を軽減してもらえれば」と話していた。

 ドローンによる農薬の空中散布は、安全かつ適正に行われる必要があることから、農林水産省は2015年にガイドラインを定めており、17年からは水稲への利用が始まっている。

新型ドローンによるデモ飛行

新型ドローンによるデモ飛行