和歌山を語り合う転勤妻 ミニョンヌの会
結婚や夫の転勤などを機に、縁あって県に引っ越してきた女性たちが集まり、生活情報や初めての土地での暮らしについて語り合う「ミニョンヌの会」が月1回、和歌山県の和歌山市内で開かれている。春に多い引っ越しも、直後のあわただしさがひと段落するこの時期。同会は「一緒にお茶を飲みながらおしゃべりして、気分転換しませんか」と参加を呼び掛けている。
市中心部のファミリーレストランに4月中旬、7人の女性たちが集まった。この日、初めて参加した女性(36)は青森出身。夫の転勤について関東地方から引っ越してきたばかりといい、「初めての土地で知り合いがいない。日中の話し相手は子どもだけで心細い」と参加した。
「幼稚園どこにしたの」「スーパーはどこがいいかな」などと話すと、「うちも最初は大変だったよ」「言葉も少し違うよね」と他の参加者が相づちを打ち、最近見た映画や出掛けた場所の話など次々とたわいのないおしゃべりに花が咲いた。
時々参加するという別の女性(47)は「普段、周りは地元出身の人ばかり。自分と境遇の近い人と話をしたり愚痴をこぼし合ったりしたくなることがある」と打ち明ける。
同会は2011年に設立。県外からやってきた「転勤妻」たちが、「同じ立場の者同士、集まれる場をつくろう」と立ち上げた。「ミニョンヌ」はフランス語で「かわいい女の子」の意味。「奥さんでもお母さんでもない、女の子に戻る。そんな場でありたい」との願いを込めて、メンバーの佐藤真理さんが名付けた。子連れで参加できる転勤者向けの会は他にあり、ミニョンヌの会は「大人の女子会」で、子どもは預けてくるのがルールだ。
佐藤さんは和歌山に来て9年。来た当時はまだ子どももおらず、実家も遠い。生活が落ち着いてくると、話し相手が欲しくなった。今ではすっかり和歌山になじんだが、「子育ての話は幼稚園のお母さんとできる。ここではいろいろな経験をしてきた幅広い年代の方とおしゃべりできるのが楽しい」と話す。
各地を移動する転勤妻は、「期間限定だからこそ、新しい土地を楽しもう」と積極的な人も多い。同じくメンバーの玉置敬子さんは、埼玉や東京、名古屋、神戸など約10カ所を転々とし、夫の退職を機に出身地の和歌山に帰ってきた。「行く先々で友だちに恵まれ、転勤生活を楽しんできた。寂しい思いをしている方のお手伝いをしたい」と立ち上げ時から参加。転勤妻ならではの苦労や経験を語り、にこやかに会を盛り上げている。
車をちょっと走らせればきれいな海が見える。新鮮な地元産の野菜やいきのいい魚が並ぶスーパー。夏にはおいしいモモが安く手に入る。よそから来たからこそ気付く、和歌山の良さがある。
世話人の宅石直美さんは「新しく来た方に、和歌山の生活を前向きに楽しんでほしい」と願う。「会を、外に一歩踏み出すきっかけにしてほしい。『また明日から頑張ろう』と元気を持ち帰ってくれたらうれしい」と話している。
次回は16日午前10時から11時半まで、同市北汀丁のロイヤルホストで開かれる。参加に予約は不要。問い合わせは同会(tenkinzu_mignonne@yahoo.co.jp)。