涼しく教室快適 和歌山市立小エアコン稼働

和歌山市立小学校50校でエアコンの設置工事が完了し、6月下旬から稼働を始めた。温暖化の影響で年々気温が上昇する中、エアコンの整備は「子どもたちにより良い教育環境を」と望む教育関係者の悲願だった。汗だくで授業をしていた現場の教員は「和歌山の教育にとって大きな変革」と喜び、梅雨の蒸し暑い天候が続く中、子どもたちは涼しい教室で勉強している。

322人の児童が学ぶ市立砂山小(同市砂山南)では、普通教室15室と理科室や家庭科室などの特別教室に新たにエアコンがついた。操作は職員室で集中管理しており、その日の気温や湿度を見てスイッチを入れている。6年の濱田頼真君(12)は「去年までは教科書や下敷きで必死にあおいでいた。ことしは授業に集中でき、勉強がはかどりそう」と声を弾ませた。

元気な子どもたちが集まる教室内は熱気が充満する。「以前は窓を全開にして扇風機を回しても大変な暑さだった。エアコンが入り、子どもたちの集中力も長続きするのでは」と九鬼秀文教頭。使用を始めて約1週間。冷え過ぎない快適な温度を心掛けている。電気代も気にしつつ、階ごとに時間差でスイッチを入れたり、扇風機を併用して冷気が部屋全体に程よく行き渡るようにしたりするなど工夫している。

市内の気温は20~30年前と比べると確実に上昇しており、最高気温が35度以上の猛暑日も増えている。市教委によると、近年、学校で熱中症にかかる子が目立つという。エアコン導入は10年ほど前から検討されていたが、厳しい市財政を背景に予算に折り合いがつかなかった。今回、国の交付金が活用できることになり、29億6100万円かけて整備した。

夏休みは5日間短くなり、8月27日から新学期がスタートする。運動会や修学旅行など行事の多い学期だが、授業時間に少しだけゆとりが出る。市教委の原田勝誠教育施設課長は「学校は子どものためのもの。電気代も気にはなるが、児童の健康を第一に考えたい。教育環境が整い、学力向上にもつながればうれしい」と話していた。

教室後方の天井に設置されたエアコン

教室後方の天井に設置されたエアコン