土砂崩れで孤立も 大雨で冠水被害など多数
西日本に停滞する梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、6日未明から明け方にかけて和歌山県内でも激しい雨が降り、道路の冠水や住宅の浸水被害が出た。和歌山市は、土砂災害の恐れや避難準備情報を防災情報メールで発令。県などの発表によると、和歌山市、海南市、紀美野町に土砂災害警戒情報が出され、道路の通行止めや列車の運行見合わせなど、交通にも影響が出た。人的被害では和歌山市名草地区の女性(47)が自宅駐車場のマンホールに足がはまり、右足に軽傷を負った。
気象庁によると、和歌山市の24時間の降水量は328㍉で7月の観測史上最大、6時間降水量は241㍉、12時間降水量は307㍉でともに観測史上最大を記録した。
8日ごろにかけて前線が西日本に停滞するため、大雨が続く恐れがあるという。8日午前6時までに予想される24時間降水量は多い所で北部200㍉から300㍉、南部100㍉から200㍉。
全国的な人的被害では、5日午前9時35分ごろ、兵庫県猪名川町で物流倉庫の建設作業をしていた和歌山市本脇の赤井智さん(59)が、大雨で増水した水路に流されて死亡した。
本紙エリアの主な被害状況は次の通り(6日午前9時現在)。
【和歌山市】雑賀崎、高松、紀伊など25地区10万4986世帯に土砂災害、水害による避難準備情報を発令。高松、今福地区で3世帯7人が自主避難した。
道路は手平地下道、田中町地下道、河西橋、太田―鳴神間の鳴神木広線、中島―小雑賀間の三田三葛線、神前の橋本線、第二阪和国道の孝子―手平間、阪和自動車道上下線の泉南―海南間、孝子峠で通行止め。
JRではきのくに線の特急、普通列車の和歌山―御坊間、和歌山線(和歌山―五条)、紀勢線(和歌山―和歌山市)、で終日運転見合わせ。阪和線(天王寺―和歌山)でも運転を見合わせた。
和歌山電鐵貴志川線は、竈山駅周辺をはじめとする冠水により6日の始発から運転を見合わせ。今後の天候により安全が確認でき次第運転を再開予定。和歌山バスは西浜新和歌浦線、川永線、岡崎線、鳴神線、木ノ本線の5路線と関西国際空港行きリムジンバスが運休となった。
【海南市】黒江、船尾、日方、岡田と下津町黒田、大崎の計6地区で住宅18軒に床上、床下浸水の被害が出ている。別所地区では土砂崩れが発生した。付近の住民に被害はなかった。
最大時には海南保健福祉センター、亀川小学校、住民センター、巽コミュニティセンター、旧室山保育所、下津保健福祉センターの計6カ所に避難所を開設し、海南保健福祉センターに8世帯14人、旧室山保育所に1世帯2人が避難した。
【紀美野町】町内48カ所に避難所を開設。梅本地区の3世帯3人が小川地区公民館に避難した。
【岩出市】住宅の浸水被害はなし。県道小豆島岩出線の市内区間が同日午前3時から通行止めとなっていたが、現在は通行可能となっている。
【紀の川市】桃山町調月北部、中部、南部地区の一部地域と貴志川町前田地区の一部に避難準備・高齢者避難開始情報が出され、調月小学校体育館、桃山保健福祉センター、貴志川保健福祉センターの3カ所に避難所を開設。3世帯4人が避難した。
和歌山市加太の南海加太線加太駅から、住宅地のサニータウンをつなぐ市道50号線では、大雨の影響で崩れた土砂や樹木が完全に道をふさぎ、通行ができない状態。同住宅地から駅方面に抜けるには実質的にこの道路を通るしかなく、住民は孤立状態となっている。
6日早朝、通勤で通ろうとした40代の男性会社員は、「道路が冠水していて、引き返してくる車も多かった。池の近くのガードレールも崩れ落ちていて、非常に危険で通れない。明日以降、どうなるのか」と不安げに話していた。