日本代表が銀メダル U21世界デフバスケ

 21歳以下の聴覚障害者による「U21世界デフバスケットボール選手権大会」が14日まで、米国ワシントンDCで初開催され、和歌山県紀の川市在住の上田頼飛監督(36)が率いる男子日本代表が銀メダルに輝いた。日本は世界大会で初勝利を飾り、アジア太平洋勢としては初のメダル獲得、ベストチームにも選ばれた。上田監督は「夢のよう。見た目では誰が見ても不利なのが分かるレベルだったが、ひるまずに戦ってくれた」と快挙を成し遂げた選手をたたえた。

 国際デフバスケットボール連盟が主催し、ギャローデット大学を会場に男子は10チームが出場。5チームずつ予選リーグを行い、上位4チームが決勝トーナメントに進んだ。

 各国は2㍍級の選手をそろえる中、日本のスタートメンバーの平均身長は174㌢。約20㌢の身長差に加え、大会ルールに障害レベル制限がなく、上田監督も「普通に話せる選手ばかりで驚いた」と不利だった状況を振り返る。その上で戦略を練り、世界の強敵と互角以上の戦いを繰り広げた。

 バスケにおいて速攻は攻撃の一つのパターンだが、日本は速攻のタイミングでじっくり攻めることを選択。日本の試合運びにしびれを切らした各国の選手は不用意なファウルを重ねることになり、着実に日本に有利な戦況をつくり出した。

 予選リーグの初戦で、U20デフバスケットボールヨーロッパ選手権で優勝したスペインと対戦。65―61の僅差でヨーロッパ勢に初勝利を飾ると、次戦のポーランドには60―88で敗れたが、カナダを102―44、ギリシャを92―49で圧倒。日本、スペイン、ポーランドが3勝1敗で並び、得失点差により3位で決勝トーナメントに進出した。

 トーナメント1回戦は強豪リトアニアと対戦。2㍍級の選手を複数そろえる相手に対し、85―58で快勝した。準決勝は予選で大敗したポーランドと顔を合わせた。予選で30本差がついたリバウンド数を埋めるべく、ポジショニングなどを改善。その結果、同等数のリバウンドをマークし、91―66でリベンジを果たした。

 決勝は開催国のアメリカと激突。完全アウェーの中、序盤にポイントガードの越前由喜選手(宮城教育大学2年)が負傷するアクシデントに見舞われ、前半だけで24点差に広げられた。後半は立て直しを図り一時は14点差まで詰め寄ったが、63―81で敗退。優勝こそ逃したが、津屋一球選手(東海大学2年)が大会MVPと得点王、長田拓巳選手(上武大学2年)がベスト5に選ばれるなど、日本選手のレベルの高さを示した。

銀メダルを獲得した日本代表メンバー(上田監督提供)

銀メダルを獲得した日本代表メンバー(上田監督提供)