30年連続最高金賞 田端酒造が世界記録更新

 世界各国の食品が集う国際コンクール「モンド・セレクション」で、田端酒造㈱(和歌山県和歌山市木広町、長谷川香代社長)の日本酒「羅生門 龍寿 純米大吟醸」は、ことしも最高金賞連続受賞の世界記録を更新。30回の大台に到達し、同社には喜びと安堵(あんど)が広がった。

 同社は幕末の1851年(嘉永4)創業の老舗。世界の人々に愛され、日本が誇れる酒造りを目標にコンクールへの出品を始め、同銘柄の最高金賞受賞は1989年から続いている。最高金賞は100点満点で90点以上の評価を得ることが条件で、今回は2820点の応募中、407点が受賞。30年連続の受賞は世界で同社のみ。

 「龍寿」は、中国の伝説上の生き物で優れていることを表す「龍」と、縁起が良い「寿」を組み合わせて命名し、兵庫県吉川産の酒米・山田錦と、紀の川の伏流水を使って造られた純米大吟醸酒。優雅で上品な香りと飲みやすい味わいが特長で、食事と合わせた際のバランスも抜群と評価され、愛され続けている。

 長谷川社長(69)の父が発案した、材料の米を61%削り、雑味をなくしてきれいな味わいを引き出す製法を引き継いでいる。長谷川社長(69)は「自分たちの子どものように造ってきた。皆さんに飲んでもらい、優雅でおいしいお酒を楽しんでいただきたい」と話す。

 長谷川社長の娘で7代目蔵元の聡子さん(36)は「お酒は生き物と同じ。一生懸命愛情を込めて造れば良いお酒になる。『おいしい』という一言がうれしくて造っています」と笑顔。“最高”を30年守り続けて迎える今後については「伝統を受け継ぎながら、より良い商品を多くの方々に提供していきたい」と意気込んでいる。

30年連続受賞の日本酒と証書を手に長谷川社長㊨と聡子さん

30年連続受賞の日本酒と証書を手に長谷川社長㊨と聡子さん