なるコミで防災講座 落語や簡易トイレ作り
「防災の日」の1日、和歌山県和歌山市鳴神の宇都宮病院内交流スペース「なるコミ」で防災セミナーが開かれた。災害への備えや、命を守る行動を呼び掛ける落語やワークショップを通して、地域住民ら約80人が防災への意識を高めた。
同市のアマチュア落語家で、防災士の資格を持つ「ゴスペル亭パウロ」こと小笠原浩一さん(56)が、災害への備えの重要性を伝える防災落語を披露。
小笠原さんは数日前、宮城県であった落語の公演から戻ったばかり。児童や教職員が犠牲になった石巻市の大川小学校(閉校中)を訪ねるなど、現地でも7年前の津波の状況を聞き、あらためて日頃の備えや命を守る防災対策の重要性を感じたという。
落語は、防災について学んだ小学生の「さだきち」と、母親の会話を軸に進行。「逃げる時は近所で声を掛け合って」「防災食は、防災の日の9月1日に食べるようにして、毎年補充を」などと伝え、避難をちゅうちょする高齢者や、非常食を確認するやりとりを面白おかしく演じた。
その他、エフエム和歌山の山口昭昌理事長が緊急告知ラジオ「防災ラジオ」を、県の担当者が、スマートフォンやタブレット端末向け無料アプリ「県防災ナビ」を紹介。
整理収納アドバイザーの吉田圭美さんは「地震に備えての食器棚の見直しと防災備蓄収納」をテーマに話し、食器棚には滑り止めシートをつけると効果があるとし、「防災食は、食べたいものや好みのものなど、ライフスタイルに合ったものを選び、最低でも7日過ごせるためのの備蓄を」と呼び掛けた。また、自身が3日間実践したという、お薦めの防災食の試食会も開いた。
「和歌山イコール会議」防災部会のメンバーによる、新聞紙を使った簡易トイレ作りもあり、同市秋月の岩田育子さん(75)は「一人住まいなので、自分だけが頼り。いざというときに必要な物を持ち出せるよう、リュックにまとめておきたい。実際に食べられるかどうか、防災食もいろいろ試してみようと思います」と話していた。