天然記念物に オオダイガハラサンショウウオ

 和歌山県教育委員会は26日、紀伊半島のみに生息している固有種「オオダイガハラサンショウウオ」を新たに県の文化財に指定すると発表した。天然記念物としての指定で81件目。また国指定に伴い、和歌山市鳴神の阿弥陀寺本堂1棟附棟札2枚の建造物を指定解除することも発表した。これで県指定文化財は計582件となる。

 県教委によると、オオダイガハラサンショウウオは両生綱有尾目サンショウウオ科に属し、1911年に奈良県の大台ヶ原で発見された。かつては四国や九州などにも分布する種と考えられていたが、研究の進展により5種に区分。紀伊半島に生息する種のみがオオダイガハラサンショウウオとなった。

 近い将来、絶滅が危ぶまれ、国と県は絶滅危惧種に指定している。2017年度から18年度にかけて行った調査では護摩壇山や白馬山、笠塔山などの河川源流域で幼生の生息や卵を確認した。成体は死骸しか見つからなかったという。

 オオダイガハラサンショウウオは2~5月にかけ、源流域のうち水流のある場所に産卵する。幼生にはえらがあり、体色は茶褐色で体に黒色のまだら模様が見られる。渓流内で1~2年過ごし、9月ごろ成体に変わる。えらや模様はなくなり、体色は青紫色に変化。成体の平均全長は約18㌢で、林床や渓流で行動し、ミミズや昆虫を食べる。

 三重県や奈良県ではすでに県文化財に指定され、紀伊半島では和歌山だけが指定していない状況だった。近年ではペットとして高値で売買される現状もあるが、今後許可なく県内で捕獲、飼育すると罰金などに処せられることとなる。県の担当者は「捕獲による減少を抑止する必要があった。生息環境の保全を図っていく」と話している。

オオダイガハラサンショウウオ(生物研究者・玉井済夫氏提供)

オオダイガハラサンショウウオ(生物研究者・玉井済夫氏提供)