大桑文化奨励賞に尾中さん、木ノ下さん

 公益財団法人大桑教育文化振興財団(大桑堉嗣理事長)の本年度の大桑文化奨励賞に、画家の尾中文さん(32)=新宮市出身・那智勝浦町在住=、「木ノ下歌舞伎」主宰の木ノ下裕一さん(33)=和歌山市出身・京都市在住=が選ばれた。表彰式と各種援助目録贈呈式は20日午前10時から、和歌山市のホテルアバローム紀の国で行われる。

 文化奨励賞に決まった尾中さんは京都市立芸術大学を卒業後、立体や写真作品などを手掛け、2012年ごろからアクリル画に取り組むようになり、個展やグループ展を開催。

 13年から3年間にわたって、新宮市展で特選に選ばれ、熊野美術協会展で、浜口勇一賞や西村伊作賞などを受賞。15年に第100回二科展に初出品し、初入選。翌年に同展で二科新人賞、17年の春季二科展で春季賞、本年度の昭和会展入選など受賞歴多数。人間の内面を表現した独創的で精神性の高い半具象の絵画表現で高い評価を受け、今後の活躍が期待される。

 木ノ下さんは京都造形芸術大学を卒業。演劇や歌舞伎を中心とした古典芸能の研究に取り組んでいる。2006年に歌舞伎演目の現代劇化を試みる「木ノ下歌舞伎」を旗揚げ。13年以降、チリやフランスで海外公演を成功させ、18年にはコクーン歌舞伎『切られの与三』(串田和美演出・中村七之助主演)の台本を執筆するなど、国内外で活躍。

 木ノ下歌舞伎『三人吉三』で読売演劇大賞2015年上半期作品賞ノミネート、同『勧進帳』で16年度文化庁芸術祭新人賞を受けるなど、今後さらなる活躍が期待されている。

 この他、無形民俗文化財保持団体援助には、嵯峨谷の神踊り(こおどり)保存会(橋本市)、堅田祭保存会(白浜町)、文化活動団体援助には、和歌山マジシャンズクラブ(和歌山市)、紀州の和菓子と文化を考える会(同市)が選ばれた。

 同財団は㈱オークワの創業者・大桑勇氏が県内の教育、文化、スポーツ関係の振興事業のために1993年に設立。毎年、大学生への奨学金給付や高校スポーツ選手奨学金、市町村対抗ジュニア駅伝競走大会援助、学校図書の寄贈など、文化やスポーツ、教育活動に援助を続けている。これまでの援助額の合計は約8億3500万円に上っている。

尾中文さん

尾中文さん


木ノ下裕一さん(©Naoko Azuma)

木ノ下裕一さん(©Naoko Azuma)