無洗米宣言を採択 東洋ライスと関連事業者
米の総合メーカー、東洋ライス㈱(本社=東京都中央区銀座・和歌山県和歌山市黒田、雜賀慶二社長)は15日、東京都港区の明治記念館で「無洗米未来サミット」を開き、自社が世界で初めて開発した「BG無洗米」を取り扱う全国の企業や小売店の関係者ら約280人が集い、環境汚染防止や消費者の健康増進に寄与するとの「無洗米宣言」を採択した。
BG無洗米は1991年の開発で、BはBran(糠)、GはGrind(削る)の頭文字。独自の技術で糠を取り除き、洗わなくてもおいしく炊ける上、通常は米のとぎ汁からできる汚泥がなくなり、製造時の副産物としての糠は有機肥料に加工している。
2017年度の生産量は45万7000㌧に上り、主食用米に占めるシェアは6・1%に伸びているものの、無洗米の商品規定が存在しないことから、BGと類似した製品が出回り、一部の消費者からは「洗わなくてもよいというが真偽が分からない」「おいしくない」などの声も出ている。
こうした現状の中、同社はことし8月、米穀業界で初めて、先進的な環境保全活動を推進する企業として環境省の「エコ・ファースト企業」に認定。これを機にBGの特長を知ってもらい、利用を促進しようと、サミットを開催した。
雜賀社長(84)はBG無洗米の開発のきっかけについて、1976年に紀淡海峡を訪れた際、海水が汚泥で黄土色に見え、次世代は海を何色に描くのかと危機感を覚えたことだと強調し、環境への貢献により、エコライフびわ湖賞最優秀賞(98年)をはじめ、数々の表彰を受けていることを紹介。さらに、味覚センサーで通常の白米よりおいしいとの結果が得られていることを示した。食べる米をBGに変えることにより、誰もが環境保全に参加できるとし、「安心して暮らせる持続可能な社会実現のお役に立ちたい」と力を込めた。
阪本哲生副社長(55)は国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」17項目のうち、9項目にBGが寄与していることを示し、参加企業と共に「無洗米宣言」を発表。BG無洗米の消費拡大により環境負荷を減らす▽食味と健康の両面から消費者の満足度を高める▽米の糠から開発した肥料で循環型農業を目指す▽SDGsに貢献する――などの4点を採択した。
環境省政策評価室の内藤冬美室長(44)は「海の色の変化に気付いたことが開発のきっかけとの話に感銘を受けました。今後の環境行政は、消費者が無理なく楽しく、保全活動に参加できる暮らしを模索していくことだと思います」と話していた。