加太と葛城修験の世界 和大紀州研で特別展
和歌山県和歌山市の加太地区と修験道の歴史を紹介する特別展「加太・友ヶ島の信仰と歴史―葛城修験二十八宿の世界―」が3月8日まで、同市栄谷の和歌山大学紀州経済史文化史研究所で開かれている。
葛城二十八宿は、修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が妙法蓮華経(法華経)を納めた経塚と行場を巡る修行の道のり。加太の友ヶ島には第一経塚の序品窟と五つの行場がある。加太にはかつて伽陀寺と呼ばれる寺院があり、その別当を務めた向井家は、現在も修験者を迎える「迎之坊(むかえのぼう)」の役目を継承している。同研究所は同家から「向井家文書」を寄託されており、今回の特別展は同文書を中心に約90点を展示している。
特別展は3章で構成。1章「葛城修験二十八宿―山林修行と巡礼の旅路―」では、修験者が入峯した後の様子を記した「峯中記」や、訪れた修験者を記録した「葛城入峯現参幉」などが並ぶ。
2章「門跡の葛城入峯と加太・友ヶ島―向井家文書と文化財から読み解く―」は、修験者を迎え入れる際に飾る「神変大菩薩(役行者)御絵像」や、聖護院門跡が入峯した際の打ち合わせ記録「聖護院様就御入峯上京之時京都表諸事覚」、明治時代の修験禁止令で廃寺になった際の手続きに関する文書など、行場としての加太の歴史がうかがえる。
3章「葛城入峯修行―現代へとつながる修験の道―」は、修験の装束や加太浦北之浜で復興されている大護摩供の映像など、現在の修験者の修行の様子をパネルで展示している。
2月4日から一部展示品を入れ替え。26日、2月1、8、16日、3月8日の午後1時半からはミュージアムトークを実施する。
関連イベントとして、3月9日午後1時から、吹上の県立博物館でシンポジウム「城修験の信仰・儀礼・言説―向井家文書・聖護院文書のコスモロジーとその四周―」を開催。定員50人。参加無料。申し込みは、名前、連絡先、参加人数をメール(naohashi@center.wakayama-u.ac.jp)で連絡。問い合わせは同研究所(℡073・457・7891)。