俳句結社「滝山」立ち上げ 桑島さんが主宰
俳人協会評議員を務める和歌山県和歌山市松江北の桑島啓司さん(77)が1日、俳句結社「滝山」を立ち上げた。桑島さんは俳人の故・山口誓子に15年、鷹羽狩行(たかは・しゅぎょう)さんに40年師事。個性豊かに、会員のさまざまな「滝音」が聞こえてきそうな隔月発行の同名俳句雑誌も創刊した。
結社名の「滝山」は、桑島さんが滝が好きなことに由来。鷹羽さんが命名した桑島さんの第2句集の題名からとった。
「俳誌は十数人でスタートするつもりが、思いも寄らず大勢集まりました。高齢化が進む中、俳句をやめる人も多いですが、『(年齢を重ねた)桑島さんがやるのなら』と加わってくれる人も多く、私自身も元気をもらいました」
俳誌には県内外から52人が参加。今後は和歌山市民会館で毎月例会を開き、勉強会などで研さんを積む。
桑島さんは徳島県鳴門市出身。俳句好きだった友人の兄に誘われ、小学生の頃から友人たちと一緒に俳句会へ参加するように。周囲は大人ばかりという中、十代から親しみ「私の作った句がよく入るのがうれしくて。俳句会の景品も、みそやしょうゆ。家庭が貧しかったので母も大喜びでした」と振り返る。
住友金属工業和歌山製鉄所(現新日鐵住金和歌山製鉄所)への就職で和歌山へ。22才で誓子の主宰誌「天狼」に、37歳で鷹羽さんの主宰誌「狩」に参加。以来、40年近くにわたって「狩」和歌山支部長を務め、全国で28人の幹部同人の一人となった。40周年の「狩」が昨年いっぱいで幕を下ろし、後継に引き継がれたこともあり、「和歌山に新たな結社を」と発足させた。
掲げるのは「座の文芸の復活」。「競争心の強い時代ですが、文芸としての俳句は、生きている証しとして、日常の感動を残していくもの。勝ち負けでなく、順番をつけたり競ったりするものではないんです」と、原点である句会を大切にしたいと話す。
「それを忘れかけている今、俳句の魅力である『座の文芸』で大切なことを取り戻したい」と話している。
創刊された俳誌には「滝音集」として、それぞれの会員の投句を紹介。詠み手の個性が出るようにと、添削はせずに掲載している。その他、鑑賞一句として選評なども。
創刊の言葉として、桑島さんは「これからも、俳句を愛する方々と共に生きている証しとして命の続く限り俳句の世界に遊びたいと思っております」と寄せている。
俳誌の問い合わせは桑島さん(℡073・451・6110)。