火災から文化財守れ 総持寺で防火週間訓練
法隆寺の金堂壁画が1949年の火事で焼損したことを受けて定められた「文化財防火デー」(26日)を控え、和歌山県和歌山市の梶取本山総持寺(松尾孝龍貫主)で25日、総合消防訓練が行われた。文化財防火運動推進週間(23~29日)の一環で、市消防局員や松尾貫主ら25人が協力して防火意識を高めた。
同寺は県指定文化財の本堂や総門、市指定文化財の釈迦堂や開山堂など6件の文化財を所有。訓練は寺の庫裏付近から出火し、強風にあおられた火が本堂、総門に延焼した想定で実施された。
午前10時に火災報知器が鳴り、訓練を開始。松尾貫主が火元を確認して通報し、敷地内にある野崎幼稚園の園児も避難訓練を始めた。到着した消防隊員は総門で初期消火を行い、宝物を本堂から運び出した。本堂の屋根に向けて一斉放水が始まると、外に避難していた園児からは「わぁ!」と驚いた声が上がった。
山下直樹消防局長は「日頃の成果を発揮し、有効な訓練だった。文化財を火災から守り、長く受け継ぐためにも火災予防に尽力してもらいたい」と講評し、松尾貫主は「文化財を預かる身として火災には気を付けていても、いつ起こるか分からない。訓練のように活動できるようにしていきたい」と話していた。