万引対策は経営方針 防止協議会で山本教授
和歌山県万引き防止対策協議会(会長=大桑?嗣㈱オークワ代表取締役会長)の研修会が28日、和歌山市茶屋ノ丁の県自治会館で開かれ、北陸大学経済経営学部の山本啓一教授が講演し、「万引対策はそのお店を経営する会社の経営方針と密接に関係している。経営者は正面から向き合うべきだ」と訴えた。
協議会は2010年に設立し、研修会は今回が9回目。県内のスーパーマーケットや防犯団体、県警などの関係者約30人が参加した。
大桑会長はあいさつで県内の18年の刑法犯認知件数に占める万引の割合が14%で自転車盗に次いで多く、万引犯の約半数を高齢者が占めていることにふれ、「万引を許さないという規範を高め、安全で安心な和歌山を実現しなければいけない」と呼び掛けた。
山本教授は「『コスト』ではなく『投資』として考える万引対策」と題して講演。店舗を運営する会社の万引対策に取り組む姿勢を見ればその会社の経営理念や方針が分かるとし、福岡県内のスーパーを対象とした調査で、監視カメラや防犯ミラーなどがほとんどないにもかかわらず万引の被害が非常に少ない店舗があったことを紹介。万引対策に積極的な店舗が、来店者への声掛けや店内巡回など従業員を巻き込んで継続的に対策を進めている一方で、消極的な店舗は啓発ポスターの掲示や疑わしい行為への声掛けなどにとどまっているとし、「その場しのぎの取り組みで、やっていることの質が違う」と指摘した。
小規模スーパーの万引への対応については、「棚卸しの頻度が少なく、万引被害の実態が分かっていない」店舗が多いとし、「商品のロスに鈍感で、放置しておくと針の混入などより大きな犯罪につながりかねない。経営者が万引対策に正面から向き合うことが必要だ」と訴えていた。