華麗にタップ 橋本さん86歳で初ステージへ
靴音を響かせ、リズミカルな音楽に乗せて――。和歌山県和歌山市今福の橋本孝子さん(86)は24日、自身が通うタップダンス教室の発表会で初ステージに立つ。「出してもらえるだけでもありがたい。周りに迷惑がかからないよう、何とか無事に務められれば。気力だけが頼りです」と練習に励んでいる。
タップを始めたのは1年半前。小さい頃から日本舞踊をしていたものの、これまで運動とは縁がなく、習い事は長年続けてきた木彫りや絵手紙など。茶道は指導者でもある。
何か運動を始めようと市内の総合施設で開かれている教室をのぞいてみたところ、椅子に座ってするタップが目に留まった。「これならできそう」と月に3度ほどの教室に通い、繰り返し振り付けを覚えた。
「1年かけてようやく1曲を仕上げました。家に帰ってからは寝ながら復習しています」
椅子に座って行うタップは、年齢を問わずシニアも気軽に楽しめるという。腹筋や太もも、足腰の筋力アップにもつながり、音楽に合わせてステップを覚えることで脳の活性化も期待できる。
橋本さんは「私たちの時代は戦争もあって、抑制された生活で華やかなことをしていない。憧れがあったのかもしれませんね。もっと早く出合いたかった」とほほ笑む。
指導するタップダンス教室「スタジオぽこ・あ・ぽこ」の田中美和代表は「私が同じ年齢になったとき、新しいことを始める勇気があるかなと思うと、心から尊敬します。やる気があって、簡単には諦めない気持ちが強いですね」と話す。
発表会の少し前には87歳に。教室の仲間からは「孝ちゃん」の愛称で親しまれる橋本さんが挑戦するのは「真赤な太陽」「紀州つれもて音頭」の2曲で、通常タップのメンバーを含め8人と舞台に立つ。
このうち「紀州つれもて」はアップテンポの元気な曲。鳴子を使って手と足を同時に動かす、やや難度が高い曲で、当日に向け目下練習中。橋本さんは「記憶力も衰え、振り付けを覚えるのに時間がかかりますが、体を動かすのは楽しい。体が丈夫である限り続けていきたいです」と笑顔で話している。
発表会は24日午後2時から、同市米屋町のぶらくり丁内ライブスペースモーメンツで。藪下将人さん、田頭宜和さんもゲスト出演する。
チケット1500円(1ドリンク付き)。問い合わせは田中代表(℡090・3719・2603)。