SDGs食講義参加数でギネス 東洋ライス
米の総合メーカー、東洋ライス㈱(本社=東京都中央区銀座・和歌山県和歌山市黒田、雜賀慶二社長)は21日、「最大のサスティナブルフード(持続可能な食)レッスン」と題して国内3カ所で行った食に関する専門家の講義で、一斉に受けた人数が最大であるとのギネス世界記録を達成した。同社が開発したBG無洗米による環境や社会への貢献について、3会場で学んだ合計359人が、今後はギネス記録取得者の一員として、各地で普及に努めていくことが期待される。
BG無洗米は1991年の開発で、BはBran(ぬか)、GはGrind(削る)の頭文字。独自の技術でぬかを取り除き、洗わなくてもおいしく炊ける上、通常は米のとぎ汁からできる汚泥がなくなり、製造時の副産物のぬかは有機肥料に加工している。
環境への負荷の少なさや含まれる健康成分、循環型農業への寄与など、多くのメリットがありながら、開発から約30年が経過する今も、シェアは6・1%と、普及率が低迷していることから、同社は消費者や社会にBG無洗米を詳しく知ってもらうPR活動を展開中。2018年秋、東京都内で関係企業らが採択した「無洗米宣言」に続き、今回は東京會舘(千代田区)、パシフィックホテル沖縄(那覇市)、同社和歌山本社(和歌山市黒田)の3カ所でギネス世界記録に挑戦した。
講義は東京会場で行われ、京都大学農学研究科の秋津元輝教授が「食から考える持続可能な未来」、東京農業大学客員教授を務める雜賀社長が「BG無洗米で実現できる『持続可能な社会』」と題して話した。
秋津教授は持続可能な社会には消費者の意識だけでなく、それを実現する商品や機械、制度なども重要としてBG無洗米の開発をたたえ「個人の心掛けと供給システムの両輪が必要だ」と強調した。
雜賀社長は、飲食店が汚泥を排出しないよう義務付けられている米のとぎ汁の浄化システム「グリストラップ」についてふれ、「悪臭のする汚泥の処理に苦慮していた飲食業者の救世主でもある」と解説。BG無洗米を使うと、消費者には負担なく、環境に負荷をかけない生活が実現でき、国連が掲げるSDGs(持続可能な17項目の開発目標)のうち9項目に寄与できることなどを話した。
和歌山会場では、生産農家や製造・流通・飲食業界の関係者ら87人が、6人のギネス認定スタッフの監督のもとで受講し、理解度を測るテスト問題にも挑戦した。
記録達成に必要とされた参加人数250人を大きく上回る359人での世界記録が樹立されたことを受け、和歌山の参加者は横断幕とたすきを掲げて笑顔で記念撮影。
東京会場で公式認定員のジャスティン・パターソンさんから認定証を受け取った雜賀社長は「レッスンを受けた誇りを共有し、社会貢献に向け行動していきたい」と話していた。