関電海南発電所を廃止へ 跡地に企業誘致
関西電力㈱は1日、和歌山県海南市船尾の海南発電所を4月1日に廃止すると発表した。今後の電力需給の見通しが安定していることや、設備の老朽化を踏まえ判断した。同社は「今後、発電設備の除却工事や跡地活用の検討を進める」としている。
同発電所は高度成長に伴う需要急増に対応するため、1970年5月から74年4月までに1~4号機の運転を順次開始。計210万㌔㍗の定格出力で、関西の電力需要を支えてきた。
近年、節電や省エネが進展し、2017年4月以降は1~3号機を休止。その後も発電所の取り扱いを検討したが、運用していた4号機も含めた全機の廃止を決めた。
併せて、御坊市塩屋町の御坊発電所2号機(60万㌔㍗)と兵庫県朝来市の奥多々良木発電所3号機(30・3万㌔㍗)も同日から休止することを発表。経済産業省に、休廃止についての発電事業変更届出書を提出するという。
約1年前に関電から廃止の意向を聞いたという仁坂吉伸知事は「長年関西圏の電力供給を支えてきたことはまぎれもない事実。地域経済に大きな貢献をしてくれた」とコメントを発表。同社、海南市と協力し、地元の雇用が減少しないよう取り組んだ結果、跡地への企業誘致のめどがついたとし、「地元の雇用減少という悪影響に歯止めをかける見通しを得ることができた」との考えを示した。
神出政巳海南市長もコメントを発表し、関電に跡地活用の検討を申し入れていたと説明。「非常に残念でさびしい限りだが、苦渋の選択をなされたことについては致し方のないこと。県、関電と協力して跡地活用に対応したい」とした。