身近な物を誰もが使いやすく 廣川教授講演
年齢や性別、障害の有無などに関係なく、誰もが使いやすい製品を設計する「ユニバーサルデザイン」について考える講座が17日、和歌山県岩出市根来の岩出図書館で開かれ、近畿大学生物理工学部の廣川敬康教授(設計工学)は、駅の自動改札機やカメラ、急須など生活に身近な物の構造にユニバーサルデザインの考えが反映されていないと指摘した。
同館が主催し、親子連れや夫婦など約30人が聴き入った。
廣川教授はバリアフリーが障害のある人を対象としているのに対し、ユニバーサルデザインは障害の有無に関係なく誰もが使いやすい製品の設計を目指していると説明。両手に重い荷物を持って帰宅した際に玄関の扉の鍵を開けるのが大変なことや、夜に部屋の電気を消してベッドに戻ろうとした時、床に落ちていた物につまずくなどの事例を挙げ、「障害のある人だけでなく、一般の人も状況によっては不自由を感じる」とし、誰もが使いやすい製品の必要性を訴えた。
左利きの人が使いにくいと感じる物の例に駅の自動改札機や急須などを挙げ、「改札機は切符の挿入口が右側にあり、急須の取っ手は右手で持って注ぐような位置に付いている」と話し、スーツやワイシャツの胸ポケットから物を取り出す場合、左利きの人は取り出しにくいのではと話した。
使いにくさに改善が見られた例として蛇口やミニバンの自動車を挙げ、「蛇口はひねるタイプからレバータイプに変わり、弱い力でも水が出るようになった。ミニバンは90度開くドアが現われ、乗り降りや荷物の出し入れがしやすくなった」と説明。「生活の中で使いにくさや使いやすさを感じたら、なぜそうなるのかぜひ考えてみてほしい」と呼び掛けていた。