仏像と神像へのまなざし 県立博物館特別展

 県立博物館(和歌山県和歌山市吹上)は27日から6月2日まで、特別展「仏像と神像へのまなざし―守り伝える人々のいとなみ―」を開く。県を代表する仏像や座像を一堂に展示。過疎化や高齢化が進み、仏像の盗難被害も増加する中、地域住民の心のよりどころとして人々の信仰を集め、守り伝えられてきた貴重な文化財を、さらなる未来へと継承していくためのこれからのまなざしについて考える。

 「熊野速玉大神坐像」や「十一面観音立像」など国宝4体、重要文化財10体を含む計76体の仏像や神像を展示。

 約半数の40体が指定文化財。普段は拝観や鑑賞できないものも多数あり、初公開も16体。今回のような規模で、一度にこれほどの指定文化財を展示するのは同館では初めて。

 また、文化財をいかに未来に伝えるかを問う今展では、文化財保護啓発の観点から、特別に写真撮影OK(フラッシュ使用は禁止、一部不可もあり)。非営利な個人利用に限り、SNSなどでの発信も許可され、同館では初の試みという。

 展示室にはメッセージボードを設け、仏像や神像を守っていくため、私たちができることは何か、来場者からもアイデアを募る。

 同館の大河内智之主査学芸員は「文化財は『みんなで守る』という意識がなければ、もはや維持できない状況。貴重な文化財を今後どのような方法で守り、継承していけばよいのか、皆さんと一緒に考える機会にしたい」と話している。

 学芸員による展示解説は28日、5月19日、6月2日の午後1時半から。

 開館は午前9時半から午後5時まで。月曜休み(4月29日、5月6日は開館し、7日休み)。問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

熊野速玉大神坐像

熊野速玉大神坐像