農家の負担軽減へ ドローン農薬散布デモ飛行
ドローンによる測量や点検などを行う㈱未来図(和歌山県和歌山市西高松、藤戸輝洋代表取締役)は21日、紀の川市の田んぼで、ドローンを使った農薬散布のデモ飛行見学会を行い、農業関係者ら約50人が参加した。
県内では、進む高齢化で重労働となる農薬散布でのドローン活用が検討されている。全国的には、水稲や野菜類への農薬の空中散布は約20年前から行われているが、無人ヘリコプターやラジコン操作を伴うドローンでの手動散布など、非常に高度な技術が求められてきた。
実演は同市の神德農園協力のもと、同園所有の農地で実施。今回、同社が導入したXAIRCRAFT社のP20は、事前に測量したデータをクラウドに登録し、そのデータを基に、数㌢単位で制御された散布が可能な完全自動航行のドローン。手元のタブレットで飛行状況や薬剤の残量、噴射量やバッテリー残量などをリアルタイムで確認できるなど、参加者らは先進的な技術で自動航行するデモ飛行を見学した。
同園の神德泰孝さん(63)は、同社が運営するドローンスクールで自身もドローンの操縦ライセンスを取得。農業の新たな形を積極的に取り入れる理由として、生産農家従事者の高齢化と大きな作業負担を挙げ「消毒作業は1人ではできず家族で行うが、大きな負担になっている。P20は測量データに基づいて自動航行するので、この地域に多い変形の田んぼに適している」と話した。同園ではことしから実用実験が行われる予定。
藤戸代表は「今後はJAなどの協力を得ながら、P20による農薬散布の代行にも取り組んでいく他、果樹に対する実証実験も行っていきたい」と意気込みを語った。