次世代担う人材育成 アレックの新学習法

AIの登用など大きな社会変化にも対応できる人材が求められる現代では、2020年度からセンター試験が廃止され、大学入試でも思考・判断・表現力が問われるようになる。脳科学の専門家や教育機関は、子どもの能力向上に関する新たな学習法の研究や開発に取り組んでいる。

脳科学者の茂木健一郎氏は著書『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』の中で「求められるのは新たな分野を開拓したり今まで誰もやってこなかったアイディアを実現すること」と強調。アレックの長洲央訓社長(62)は、長年にわたる指導経験で勉強に対して意欲的に取り組む子どもと、強いストレスを示す子どもがいることに注目してきた。

長洲社長はその要因を探り、全ての子どもを学習に前向きにさせるような解決策を模索する中、脳科学に関する研究書など約500冊にあたり、アメリカのピッツバーグ大学の研究チームが11年、米科学アカデミー紀要に発表した「55歳以上の人が有酸素運動を1年間続けたところ、記憶の形成を担う海馬の容積が増え、空間記憶が改善された」との論文に着目。

ことし3月末、有酸素運動と同社が2009年に開発した数字パズル「セレンブレイン」を組み合わせながら教科学習ができる塾の体制を確立した。「脳も鍛えられる」との可能性が、さまざまな研究で明らかになってきたことから、新たな学習形態を「ニューロフィットネス」と名付けた。

「セレンブレイン」は、県立医科大学脳神経外科の板倉徹教授(故人)と共同研究し2009年に開発。週に1度、60~90分取り組むと前頭葉の血流が増加するとのエビデンス(証拠)を得ている。県も中小企業が有する優れた技術「一社一元気技術」として認めている。今回の新たな取り組みでは親子受講やオーダーメイドのプランも設定。長洲有紀子副社長は「保護者の立場に思いを寄せ、子どもの伴走者であることを目指しています」と話し、「子どもさんを『やる気がない』と叱らないで科学的に解決する方法を試し、ぜひ良い親子関係を築いてください」と呼び掛けている。

「セレンブレイン」に取り組む児童

「セレンブレイン」に取り組む児童