地域の伝統工芸知ろう 根来塗曙山会が授業
和歌山県立那賀高校(岩出市高塚、歌保晴校長)で5日、根来寺根来塗曙山会による伝統工芸の授業が行われた。
総合学習で美術を選択する3年生16人が参加。全5回の授業で1枚の皿を完成させる。中世時代の技法を復興した塗師の池ノ上曙山さんと3人の弟子が講師を務め、根来塗の歴史や技術についても説明。上の朱色が擦り減り下地の黒が見えて新しい趣が生まれることや、下地が見えても使い続けられる丈夫さを紹介した。
初回となるこの日は、木製の皿の強度を高める「木固め」の作業を行った。木の細かい穴に漆を塗り込め、強度を高めて水漏れなどを防ぐという。
生徒は人毛のはけを使い、皿の両面から漆が染み込むように何度も塗っていった。
田中碧さん(17)は「根来塗は名前くらいしか知らなかった。漆を塗る作業はどれくらい塗れば終わりなのか分からなかった。次からの授業も楽しみ。完成したら、使って味わいのある皿にしたい」と話していた。曙山さん(59)は「体験した生徒が根来塗について聞かれた時にしっかり答えられるようになれば。将来的には職人になってくれるとうれしい」と期待を寄せた。