環境守る技術開発を 和工で木造建築の講演
住友林業㈱が2041年を目標に、高さ350㍍の木造超高層建築物を実現する技術の開発と環境木化都市の実現を目指す「W350計画」から木造建築の可能性を考える講演会が5日、和歌山市西浜の和歌山県立和歌山工業高校で開かれた。同校の建築科生や建築関係者、県、市町村職員ら120人以上が参加し、同校卒業生で同社理事、同社筑波研究所の中嶋一郎所長が新しい技術開発や環境保全について講演した。
中嶋所長は計画について森林面積や取り扱い量ではなく、木の価値を高める技術で世界一を目指すと説明。デザインモデルでは緑を配置し、ビルの外側から最上階まで上ることができる「都市の里山」をイメージし、午後5時になると照明が落ち、人々は早く帰り、生活パターンも変わるような空間を提案。木造は燃えやすいイメージがあることから、ビルの外側から避難できるルートづくりや建物を流れる水膜やプールなどの防災を考えた設計について話した。
実現するための技術モデルも紹介。DNAのパターンから木の強さや成長速度を予測して育てる技術や建物の耐久性を高める木鋼ハイブリッド構造、不燃材を極力使わず火に耐えられる木材の開発など、研究所がさまざまな技術に取り組んでいると述べた。
中嶋所長は計画について「ただ建築だけの話ではないと知ってもらいたい。バランスや環境を考え、木から作って人と地球を良くしたい」と話した。