青い本堂で龍灯献上 紀三井寺で幻想・千日詣
一日のお参りで千日分の功徳が授けられるといわれる「千日詣」が9日、和歌山県和歌山市の紀三井寺で行われた。千日詣の起源となった龍灯伝説を再現する「龍宮乙姫龍灯献上行脚」では、オーディションで選ばれた県立粉河高校の教諭、中兀(なかはげ)花波さん(25)が乙姫役を務め、たくさんの参拝客に囲まれて参道を歩いた。
行脚は同寺を開いた為光上人が大般若経を書き写した8月9日、竜宮城の乙姫が海中でも消えない灯籠を献上に訪れたという故事を知ってもらおうと3年前から始まった。昨年から乙姫と女官役はオーディションで決めている。
午後8時前から参道の石畳に沿ってたくさんの人が並び、乙姫を待った。龍灯を携えた乙姫は本堂に着くと、前田泰道貫主に龍灯を手渡し、海のように青く照らされた幻想的な空間で華やかな衣装と扇子をなびかせて女官と共に舞った。
乙姫を演じた中兀さんは「練習では、しなやかな動きをずっと意識して練習しました。緊張していましたが、参道を歩いているうちに楽しくなってきました」と話していた。
子どもたちによる和讃奉納太鼓は40年前の衣装を復活させ、踊りと太鼓で盛り上げた。
最後は拾うと福が授かるといわれる御幣を投げる福棒投げが行われ、境内は夜遅くまでにぎわった。