自殺防止へ対策を 県が有識者会議を設置

和歌山県は自殺防止対策について話し合う有識者会議を29日に初めて開く。医師や研究者、弁護士など委員8人で構成する。県内は人口10万人当たりの自殺死亡率が昨年初めて全国最悪を記録しており、対策が急がれる。

「われわれが考える最高の有識者の方を集めた。どうやったら自殺を少なくすることができるか、がんがん意見を言ってもらって県の自殺対策をバージョンアップさせたい」。仁坂吉伸知事は今月上旬の定例会見で強調した。

厚生労働省の人口動態統計によると、昨年の県内の自殺者数は197人で前年より18人増。人口10万人当たりの「自殺死亡率」は21・2で全国平均の16・1を大きく上回り、初めて全国最悪となった。自殺率を高い方から並べた全国順位は2016年が4位、17年は8位でここ数年は1桁の順位が続いている。県障害福祉課によると、自殺者に占める割合は中高年や高齢者が多く、原因・動機では健康問題が最多を占めるという。

県は昨年4月に県自殺対策計画を策定。県の自殺死亡率を2022年に16・4以下にすることを目標に掲げた。具体的な取り組みとして、ことし1月に無料通信アプリ「LINE」に相談窓口「いのちのセーフティーラインわかやま」を開設。病院や保健所などにカードを設置しており、カード上のQRコードをスマートフォンなどで読み込むことで利用できる。相談専用電話「はあとライン」(℡073・424・1700)の受け付け時間も4月から24時間化した。

有識者会議は3回程度の開催を予定し、現状の分析や自殺率低下に向けた方策の検討などを行う。座長は医学博士で国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺総合対策推進センター自殺実態・統計分析室長の金子善博さん。県内からは県立医科大学医学部神経精神医学教室の鵜飼聡教授、県精神保健福祉センターの小野善郎所長、パークアベニュー法律事務所の中川利彦所長、白浜レスキューネットワークの藤藪庸一理事長が委員に名を連ねている。