全国47マラソン完走 和歌山市の木村さん

 全国各地で開かれる市民マラソンでは、観光やグルメ、大会ならではのもてなしを楽しみながら参加するランナーも多い。和歌山県和歌山市の木村充博さん(53)は12月1日に島根県で開かれた大会で、47都道府県での大会全ての完走を果たした。所属しているランニング愛好会の「汗濁(あせだく)大学アスリートクラブ」(平川太一会長)メンバーの盛大な祝福で達成感いっぱいの木村さんは、今後は東京オリンピックのボランティアスタッフを目指す。

 木村さんが初めて参加したご当地マラソンは、2014年2月の「第19回紀州口熊野マラソン」。フルマラソンへの初挑戦で完走を果たしたことと、3時間59分21秒という納得のいくタイムに気を良くし、3、10月の大阪での大会、12月東京の伊豆大島と、1年のうち4大会に出場した。

 全国各地で走りたいと一念発起したのは伊豆大島マラソン。会場は標高400㍍で難コースではあったが総合92位という満足の結果と、初めて訪れた他府県の地域で飲食などのもてなしを受け「これまでに体験したことのない楽しさ」に夢中になった。

 特に印象に残っているレースは17年2月、熊本県の大会。16年4月の地震による被害で、崩れた城やがれきのそばを走りながら、5㌔おきに給水や食事を提供してくれたボランティアスタッフに感銘を受けた。その大会をきっかけに、47大会全てで完走したいとの思いを一層強くしたという。

 練習は1週間に2度、和歌山城の周囲10㌔やマリーナシティ周辺2㌔を汗濁大学アスリートクラブのメンバーと走り、大会直前は孝子峠を越え岬公園までの約30㌔を走り込んでいる。

 47カ所目となった12月1日の国宝松江城マラソンでは、同クラブの平川会長(46)と藤田倫成さん(45)も参加し、手をつないで感動のゴール。マラソンを始めた当初、木村さんのペースに合わせて伴走してくれたメンバーも、ゴール直前、「汗濁大学」ののぼりを持って応援に現れ、感極まった。

 メンバーはこのほど、祝う会を開き、これまでの参加実績を記したTシャツを贈って、根気強く取り組んできた勇姿をたたえた。木村さんは「一人で続けることは不可能だった。仲間が寄せ書きをしてくれたたすきを掛け、一緒に走っていると感じながら頑張れた」と話し、「東京オリンピックでは感謝を込めて、選手を支える側にまわりたい」と力を込めていた。

 平川会長は「木村さんの諦めない姿に僕らも刺激を受け、頑張れた」、藤田さんは「素晴らしい記録が生まれた瞬間に立ち会うことができたことは、幸せなこと」と喜びを分かち合っていた。

喜びに沸くメンバーと記念Tシャツを手に木村さん