新型コロナ感染症対策 医療従事者ら勉強会
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて、和歌山県和歌山市小松原通の日本赤十字社和歌山医療センターで1月30日、県内の医療従事者や行政関係者らを対象とした新型コロナウイルス感染症の勉強会が開かれ、約500人が情報共有や連携を図った。
最新の医療情報を提供し、情報共有と連携の強化、地域の不安軽減と感染拡大防止の啓発につなげようと行われた。同センターは、第一種・第二種感染症指定医療機関になっている。
勉強会に先立ち、同センターの平岡眞寛院長は「世界的な関心事で和歌山県も避けて通ることはできない。正しく、過剰にならず適切な対応をするために、コロナウイルスについて知ってしっかりと対応していきたい」とあいさつした。
同センターの感染症内科部の小林謙一郎医師が「疫学、病態、感染対策について」と題して講演。感染力は同日時点で2002~03年に中国で流行した「SARS」(重症急性呼吸器症候群)よりも低いが、09年の新型インフルエンザよりも高い状況にあると説明した。
小林医師は致死率について、同日現在では「SARS」や「MERS」(中東呼吸器症候群)と比べて低く、発症初期は風邪のような症状をたどるが、重症化すると肺炎症状を引き起こしやすいと説明した。
他にも同センターの対応や県・市の行政の対応、医療連携などについて講演が行われた。
質疑応答では参加者からウイルスの病態や行政のサポートの方法、疑いのある患者と接した際の対応についてなどの質問が寄せられた。
感染症内科部副部長の古宮伸洋医師は「抵抗力の弱い高齢者や持病を抱える人は重症化しやすい。手洗いをしっかりと行うなど地道な対策を徹底することが重要。県内の医療機関や行政などが情報を共有して一体となって立ち向かうことが不可欠だと思う」と話した。