数々の史料「徳川ミュージアム」
前号では、安政の大獄を機に水戸での永蟄居を命ぜられた徳川斉昭(なりあき)の最期と、斉昭を祭る常盤神社を取り上げた。今週は水戸徳川家代々の歴史を現代に伝える施設、徳川ミュージアムを紹介したい。
徳川ミュージアムは、光圀(みつくに)以来、編さんを続けていた歴史書『大日本史』を完成させ、明治天皇に献上したことで知られる徳川圀順(くにゆき)氏(1886―1969)が設立した財団法人の博物館として昭和52年に開館した施設。家康の遺品を中心に初代藩主・頼房、2代藩主・光圀をはじめ歴代藩主やその家族の3万点もの什宝の数々が所蔵されている。
また、光圀が大日本史編さんのために全国から集めた文書約3万点も所蔵。国指定の重要文化財となるカトリック教会の教理本である『ドチリーナ・キリシタン』をはじめ、大名物の茶入や数々の日本画の名画など、歴史的価値の高い品々がコレクションされている。
分館として常陸太田市にある西山御殿は光圀が家督を3代藩主・綱條(つなえだ)に継いだ隠居後の住まいとして、亡くなるまでの10年間を過ごした場所。光圀にとっては世俗から離れた別世界とされ、水戸の黄門様として穏やかな日々を過ごしたといわれる。
文化14年(1817)に焼失しているが8代藩主・齊脩(なりのぶ)により再建され現在に至る。国指定の史跡・名勝に指定。程近くに水戸徳川家墓所がある。
水戸徳川家の史料に触れられる徳川ミュージアム。水戸観光の際はぜひ訪れてほしい。水戸駅北口から車で約10分。分館は車で1時間程度。(次田尚弘/水戸市)