有田みかんで心の交流 有志が善意受け東北へ

東日本大震災で被災した人たちに、冬を楽しく元気に過ごしてもらおうと、青少年の非行防止などに取り組む和歌山県BBS連盟の有志ら5人は昨年末、宮城県石巻市などを訪問。有田みかんを贈り、恒例のレクリエーション「みかん狩り運動会」を開いて交流を深めた。今回初めて、ミカンの購入や交通費の活動資金を、クラウドファンディング(CF)で募集。全国から寄せられた思いとともに届けた。【写真は参加メンバー提供】

交流のきっかけは2011年、石巻市にストーブを届けこと。翌年からは毎年、メンバーが出向いて県産ミカンを贈り、趣向を凝らした運動会で交流を続けてきた。

しかし、活動資金が不足し存続が困難に。時間の経過とともに被災地への関心が薄れつつある中、「多くの人に心を寄せてもらう機会に」と、今回初めてCFで募集。目標額18万円を上回る19万3000円が集まった。ミカンを寄付してくれる人もおり、約40人の協力を得て、1250㌔分のミカンを用意することができた。

会場となった石巻市の上釜会館には、幼児から高齢者まで約90人が集合。着ぐるみのパンダやメンバーと一緒に、ミカンを高く積み上げたり、輪投げや、お玉に載せて運ぶリレーなどを楽しんだ。

高垣晴夫会長(57)は「生活の中で心の余裕が出てきたのか、カラオケや懇親会の誘いを受けるなど、交流のかたちも人と人のつながりへと変化しているように思います。人の心が少しずつ元気になってきたのを実感します」と話す。

また、震災後、少子化が進む同市鮎川地区でも催し、子どもたちが運動会やパンダとのじゃんけん大会で獲得したミカンを笑顔で頰張った。その他、福島県の団体など計約20カ所に立ち寄り、有田みかんを届けた。

CF支援者への返礼品となる交流の様子を動画に収め、帰路に就いた高垣会長は「今回、『全国に応援している人がいる』と伝えることができ、自分たちも大きなエネルギーをもらった。笑顔が増える一方で、震災が忘れられないよう伝承の必要性も感じます」と話していた。

笑顔で有田みかんを手にする子どもたち

笑顔で有田みかんを手にする子どもたち