いばらき観光マイスター
前号では、水戸市民の憩いの場として知られる千波湖と湖畔の公園を取り上げた。水戸市内を散策すると、土産店や宿泊施設などで「おもてなし」日本一への挑戦と書かれたのぼりを目にする。今週は茨城県が進める「いばらき観光マイスター」の取り組みを紹介したい。
いばらき観光マイスターは、2014年に施行された県の「いばらき観光おもてなし推進条例」を踏まえ、県民の観光への知識や接遇のスキル向上を目的に試験を実施し、個人を認定するというもの。
マイスターの認定区分は、観光マイスターと観光マイスターS級の2段階。観光マイスターはガイドブックから出題される筆記試験に合格することで認定。S級はマイスター認定者に対し模擬面接や接遇面接を実施し合格することで認定される。
15年度から毎年試験が実施され、18年度時点の認定者数はマイスターが1139名、S級は268人という。認定試験の受験料は無料で4択問題50問を60分の制限時間で回答。19年度は昨年10月に県内六つの会場で実施された。
この制度の特徴は単なるご当地検定ではなく、認定後のスキルアップの仕組みや認定者間の交流、培った知識を観光産業における実務やボランティア活動の場で実践されていること。例えば、県内の生涯学習センターで開催される「おもてなし講座」は、S級認定試験の対策を兼ね、県内の魅力的な観光資源の発信力を高めるというもの。また、S級認定者の紹介や、おもてなし好事例集と題した各施設での取り組みをウェブサイトで紹介。
学んだことを実践しさらにレベルアップする。よい事例を共有し常に学ぶことを忘れない。水戸藩9代藩主・徳川斉昭(なりあき)の生涯学習の教えが受け継がれている。 (次田尚弘/水戸市)