絵本で地球温暖化考えて ひかりはじめさん

元教師の経験を生かして現在も教育に携わりながら、柿などの農業を営んでいる和歌山県紀の川市粉河のひかり はじめさん(34)がこのほど、地球温暖化をテーマにした絵本『りんごのぷらりん』を出版した。ひかりさんは「自分たちの生き方が次世代につながる。絵本を手に取ってもらい、環境問題について親子で考えるきっかけになれば」と話している。

ひかりさんは北海道大学大学院時代に「保全遺伝学」を研究。サケについてのフィールドワークの際に、発電施設周辺の海水温度の高さに違和感を覚えた。

「海に潜った時に本来生息しない海藻がいる。生き物や生態系に異変が生じているのではないか」。魚は海水温が1、2度変わるだけでも死活問題。地球温暖化について考えるきっかけとなった。

10年前から地球温暖化について調査を行い、3年前から仕事の傍ら、絵本の執筆活動を始めた。絵本は農家目線で見た地球温暖化を表現している。

主人公は「プラネット」(地球)と「りんご」を組み合わせた「ぷらりん」。多様な生き物が共存する世界の調和が少しずつ崩れ始め、ぷらりんは地震による津波や原子力発電による海水温の上昇、気候変動などで一人ぼっちに。涙を流しながらとうとう種になったぷらりん。そんなぷらりんに救いの手が――という内容。

クジラや魚など子どもがなじみやすいキャラクターが登場。親しみのある素朴な絵と分かりやすい言葉で難しい環境問題を身近に感じてもらえるよう工夫した。

「大人が読んでも環境にとって何が大切か、自分ができることは何かを考えるきっかけになると思う」とひかりさん。

「例えば、原子力に賛成や反対があったとしても、温排水の仕組みについては知ってほしい。自然を壊すのが人間だとしてもそれを元に戻すのも人間。一人ひとりが考えて行動することが大事だと思う」と力を込める。 絵本はB5判で24ページ。888円(税込み)。アラオ岩出店と打田店で販売している。

「環境問題について考えるきっかけになれば」とひかりさん

「環境問題について考えるきっかけになれば」とひかりさん