県民の心の健康改善へ 学生団体が取り組み

和歌山県民の「メンタルヘルス(心の健康)」を改善しようと、大学生らが立ち上がった。9月21日に和歌山市で、中高生が3カ月間で考えた県民のメンタルヘルスに対しての解決案を発表するシンポジウム「WAKA×YAMA SUMMER IDEATHON2020」の開催を企画。運営する学生団体WAKA×YAMA(村田七海代表)の副代表、中尾陽菜さん(18)は「和歌山は自殺率が高い。中高生に地元の現状と課題意識を持ってもらい行動してほしい」と訴えている。

団体は県内の医学部の学生ら9人で活動。不条理な生きづらさをなくすため、県での社会問題を解決しようと取り組む。

若(WAKA)者のアイデアで病(YAMA)いをなくす」がモットー。若い人が地域に働き掛けることで持続可能な課題解決策を生み出し、次世代のリーダーを育成するのが狙いだ。若者ならではの視点と行動力を武器に地域密着型のイノベーションを起こす。

一昨年には「若者が和歌山で挑む発達障害」をテーマに開催。視界をさえぎり視覚過敏を緩和するサングラス型の「BVレンズ」やボランティアによる親同士の交流会、「ほっと!スペースプロジェクト」などのアイデアが生まれた。

同団体が関心を持つのは自殺率の高さだ。厚労省の統計によると、2018年は全国平均が16・1人(10万人当たり)に対して、県は21・2人(同)でワースト1位。県だけでなく日本、世界での現状に危機感を抱いている。

今回のテーマは「県民のメンタルヘルスを改善せよ」。中高生10~15チーム(1チーム1~4人)が対象で7月5日から教育プログラムをスタートする予定。

県の現状を伝えてメンタルヘルスへの問題意識を高め、自殺対策に取り組むゲストから話を聞くなどし、3カ月かけて課題とその解決策を探る。

成果は9月にコンテスト形式で地域住民を集めたシンポジウムで発表。シンポジウム後は同団体と解決案の実施・課題解決に向けて進めていく。若者から行動を起こすことで精神保健と福祉を促進する突破口となり、県民全体のメンタルヘルス向上を目指したい考えだ。

中尾さんは「和歌山のメンタルヘルスの課題を知ってもらい中高生の柔軟なアイデアをどんどん出して動いてほしい」、鳴神和真さん(23)は「活動でメンタルヘルスの課題が減って和歌山がより住みやすいまちになって、もっと自慢できるようになれば」と話している。

 

県内の課題解決に取り組む中尾さん㊧と鳴神さん