埋蔵文化財の調査成果 紀伊風土記の丘で展示

公益財団法人和歌山県文化財センターが最新の調査成果を公開する県内埋蔵文化財調査成果展「紀州のあゆみ」が28日まで、和歌山市岩橋の県立紀伊風土記の丘で開かれている。

同センターが2019年度に調査を行った7遺跡と、整備作業を行っている4遺跡の発掘物や遺構を紹介。19年度調査の7遺跡の資料は初公開となる。

19年度は、湯浅城跡そばの青木Ⅰ遺跡(湯浅町)や熊野古道が通る道の川集落跡(田辺市本宮町)の他、天路山城跡(日高町)、里野中山城跡(すさみ町)、結城城跡(串本町)の紀南にある山城跡3カ所を調査した。

居住より戦いの前線基地のような位置付けの山城は遺物が少なく、土塁や柱の跡が残る。里野中山城跡では土塁や排水溝が確認されている。同センター技師の濱﨑範子さんによると、中世の和歌山には多くの勢力があり、さまざまな拠点を持ち戦っていたため、誰が建てたのかはっきりとしていない山城が多いという。

整備資料では、和歌山城跡(和歌山市)、新宮城下町遺跡(新宮市)などを紹介。徳川家家臣の屋敷が集中する和歌山城跡では、陶器のごま炒り器やお歯黒壺、肥前系磁器の紅皿といった当時の生活が感じられる発掘物が見つかっている。

新宮城下町跡では江戸時代の屋敷地の下から地下式倉庫が見つかり、中世に湊として機能していたことが判明。瀬戸焼の香炉や伊勢型土鍋、中国製の青磁の皿などが発掘され、物流の拠点だったことがうかがえる。

「紀州のあゆみ」は10月3日から有田市箕島の郷土資料館でも開催する。

 

山城の出土品と遺構を展示