有田みかんを農業遺産に 認定へ推進協議会
和歌山が誇る農業ブランド「有田みかん」の伝統的な栽培システムを、世界・日本の農業遺産に申請し、地域活性化に生かそうとする動きが具体化している。和歌山県や有田地域の各市町、農協などが参加し、「有田みかん地域農業遺産推進協議会(仮称)」の設立総会が8日、湯浅町の有田振興局で開かれる。
世界農業遺産は、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度で、伝統的な農林水産業と、それに関わって生まれた文化や景観、生物多様性などが相互に関連して一体となったものが対象となる。
2002年に創設され、認定地域は22カ国59地域。国内には10県11地域があり、県内は「みなべ・田辺の梅システム」が15年12月に認定されている。
日本農業遺産は、世界農業遺産の認定基準では評価しきれない、日本として評価すべき点を備えた重要な農林水産業を営む地域を農林水産大臣が認定する制度。16年4月に創設され、認定地域は14県15地域。県内は海南市下津町の「下津蔵出しみかんシステム」が19年2月に認定されている。
有田地域は、日本初のミカン栽培を生計の手段に発展させた地域。周囲の山々の斜面に石垣の階段園を築き、多様な地形・地質の組み合わせに応じた品種選定や栽培技術の開発を行うことで、高品質なミカンを生産し、平地の少なさを克服してきた。この伝統的かつ持続的な農業を「有田みかんシステム」として農業遺産認定を目指す。
推進協議会の設立総会には県、有田市、湯浅、広川、有田川各町、JAと商工観光関係者、学識経験者らが出席し、規約の決定や役員の選任、申請書案の承認などを行う。
今後は、農林水産大臣への申請書を7月29日の締め切りまでに提出し、書類審査、現地審査、プレゼンテーションを経て、認定を目指す。
来年2月に日本農業遺産の認定地域と、世界農業遺産への推薦地域が決定する予定。