海南・下津の歴史巡る 柴村さん出版2冊目
和歌山県海南市黒江の郷土史家、芝村勉(すすむ)さん(87)が『紀伊国【海南】Ⅱ名所図会を歩く』を出版した。昨年出版した1冊目に続き、海南市の旧下津町の名所旧跡を紹介。芝村さんは「海南については調べたことを書き尽くしたので、2冊読めば海南のことが全て分かるのでは」と話している。
1冊目は江戸時代の地誌『紀伊国名所図会』にならって同市の琴の浦から船尾、黒江、逗留宮まで名所旧跡を紹介。2冊目となる本書では、藤代峠から加茂川、塩津、長保寺と旧下津町を中心に紹介し、1冊目で書き切れなかった市が誕生した頃の歴史や文化、産業を掲載している。
もともと歴史について調べるのが好きだった芝村さんは、江戸時代の地誌『紀伊国名所図会』も調べ物の途中で知り、本を購入。解読が難しい崩し字に悩んだが、辞書を片手に4年かけて読んだ。同じ頃に、新聞や市報に載っている海南に関する記事をスクラップして保管していた。
海南文化財研究会の講義で名所図会を読むために文字を学んだ後、同会の黒江の歴史講習会で講師を務めることになり、それまで集めた資料や自分の読んだ紀伊国名所図会の知識をもとに12年間にわたり講義を行った。本書は講義のために作った資料を整理、修正して製作。
芝村さんは会社員時代、仕事で県内を回りながら各地の地域史を探索。歴史を調べる面白さを知ったという。健康のため熊野古道を歩き始め、1999年ごろから海南市で語り部として活動を開始。黒江や藤白を中心に活動していたが、他の地域についても知ってもらいたいと思っていた。
『紀伊国【海南】Ⅱ名所図会を歩く』はA4判で223㌻。定価1000円。和歌山市七番丁の宮脇書店ロイネット和歌山店と海南市名高の福岡書店で販売。問い合わせは各書店か芝村さん(℡073・482・5090)。