田辺のバーでクラスター 西牟婁に自粛要請
和歌山県は18日、県内の10~70代の11人が新たに新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表し、このうち6人が利用者と分かった田辺市のダイニングバーをクラスター(感染者の集団)と認定した。さらに、従業員らの感染が判明した同市の別の飲食店の店名を公表。仁坂吉伸知事は、両店の感染者の調査、濃厚接触者の囲い込みが終わるまで、同市と隣接の白浜町、上富田町の住民に対し、夜遅くまで飲食することなどを自粛するよう要請した。
クラスターに認定された店は同市湊の「バウンド・ビー・プラス・ループ」。18日の新規感染者のうち、いずれも田辺保健所管内在住の20代の男女6人が同店で飲食やカラオケをした利用者で、全員が無症状。同店関係の感染者は計11人となった。
記者会見で県福祉保健部の野㞍孝子技監は、同店は県外者の利用もあり、店名公表により県外からの問い合わせもあると明らかにし、感染源について「県外から流入した可能性の方が大きいのではないか。店内にはカラオケもあり、夜を通した長時間の利用の影響が考えられる」と述べた。
県は6人の行動履歴を調査し、濃厚接触者らの検査を順次進める。
新たに店名が公表されたのは、同市中辺路町真砂の飲食店「ねむの木食堂」。16日に店員の30代女性の感染が発表され、濃厚接触者として検査していた同保健所管内に住む同僚の20代女性アルバイトと30代女性店長の2人も、18日に陽性が発表された。アルバイトの女性は無症状、店長は11日から発熱や嗅覚異常などがあり、症状は安定している。
利用者を把握し、感染拡大を防止するため、県は8~13日に同店を利用した人に、保健所への連絡を呼び掛けている。
記者会見で仁坂知事は、田辺・西牟婁地域での感染拡大を防ぐため、同地域の住民に対し、カラオケの利用、カラオケができる飲食店でのカラオケの利用、夜遅くまで飲食をすることを控えるよう求め、「保健行政として感染者、濃厚接触者の囲い込みを必死でやっている。それが終わるまで自粛を切にお願いしたい」と呼び掛けた。
18日に発表された新規感染者はこの他、御坊保健所管内の40代女性看護師と10代専門学校生男性、和歌山市の70代無職男性の3人。
御坊保健所管内の2人は、16日発表の50代男性の同居家族で、濃厚接触者としての検査で陽性が分かった。症状は安定している。
和歌山市の男性は6日から発熱やせきなどがあり、症状は安定。2週間以内に県外に行ったことはなく、感染源を調査している。
県内の感染者は累計209人。