城前広場の整備始まる 和市交流の新拠点
和歌山県和歌山市は、和歌山城と市役所が向き合うけやき大通り沿いに、市民や観光客が集まり、交流できる都市空間「(仮称)城前広場」の整備を開始した。事業費約3億4000万円をかけ、来年夏の完成を予定し、隣接する和歌山城ホールが来年秋にオープンすれば、さらに一体的な空間となる。尾花正啓市長は21日の定例記者会見で「通りを使ったイベントや和歌山城との一体的な活用などができる」と述べた。
城前広場は、市役所本庁舎前と旧紀陽銀行和歌山中央支店ビル跡地を合わせた東西約100㍍、奥行き17㍍、約1700平方㍍のスペースで、シンボルツリーのクスノキを残し、市民憲章碑など庁舎前の施設を再配置して一新する。
ケヤキ、ベンチ、スポット照明などを配置し、昼は木陰のベンチで、夜は明かりの下で休息や飲食を楽しめる他、小規模店舗やキッチンカーなどの誘致も検討し、日常的にまち歩き、食べ歩きを楽しめる空間を目指す。
けやき大通り(県道)の歩道も、現在の幅約2・5㍍から約5・5㍍に拡幅が予定されている。
整備計画は、2014年12月の県市政策連携会議から公式に協議を開始。県が県道の歩道整備、市が城前広場の整備、紀陽銀行が公共事業に協力することで合意し、18年1月に締結した3者協定に基づき、計画が進められてきた。
周辺は、来年春に県立医科大学薬学部の開学、秋に新市民会館「和歌山城ホール」のオープンを予定し、駐車場の需要増加に備えて、市役所北側には市営北駐車場も建設中。収容台数は212台で、市役所に隣接する既存の市営中央駐車場の収容台数564台と合わせて776台分が確保される。
さらに、北駐車場が面する市道中橋線は、本願寺鷺森別院付近から和歌山城へと一直線につながり、天守閣が正面に見える主要な移動経路となっていることから、駐車場1階には飲食店などを想定した店舗スペースを設置し、城や市民会館など周辺を訪れた人が利用できる空間を目指している。
尾花市長は「ぶらくり丁などへの人の誘導、市道中橋線から北方向への広がりも視野に入れ、周辺の整備をしていきたい」と話した。
城前広場の整備工事に伴い、市役所本庁舎南側の玄関と駐輪場、地下1階駐車場の西側昇降路は、来年2月中旬まで閉鎖される。