県が漁業調査船新造 最新の調査機器搭載

和歌山県は、水産試験場の漁業調査船「きのくに」を新造し、11月2日に串本町で竣工式を行う。最新の調査機器を搭載することで、海洋データや水産資源のより高精度な調査が可能になり、次世代エネルギー資源として注目されているメタンハイドレートの県沖海底での存在状況の調査への活用も予定されている。

県によると、旧調査船「きのくに」は1996年11月の建造で老朽化し、県が2013年から行っているメタンハイドレート調査の際も、古い魚群探知機のため精度の高いデータを取得できないなどの課題があった。

新「きのくに」は全長34・89㍍、総㌧数108㌧、最大搭載人員11人で、12億3618万円をかけて新潟造船㈱(新潟市)で建造された。

魚群探知機など従来の装備は最新のものに更新した他、新しい機器として、水温や潮流などの観測データを船上から陸上サーバーにリアルタイムに送信できる「海洋データ処理システム」、大型ネットによる採集調査を可能にし、水産資源分析の精度向上が期待できるクレーン「Aフレーム」などを搭載している。

海底地形探査装置も備え、新たな漁場の開発やメタンハイドレートの調査に活用される。

竣工式は11月2日午後2時から、串本町の和歌山東漁業協同組合荷捌き所であり、テープカットなどのセレモニーに加え、2題の講演を交えて行われる。

県水産試験場の岩橋恵洋場長が「新漁業調査船と今後の本県漁業の展望」、県のメタンハイドレート調査に当初から協力している東京海洋大学の青山千春准教授が「メタンハイドレート調査の現状と今後の展望」と題してそれぞれ話す。

 

新造された漁業調査船「きのくに」(県提供)